ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花房秀三郎」の意味・わかりやすい解説
花房秀三郎
はなふさひでさぶろう
[没]2009.3.15. 大阪,吹田
分子生物学者。癌の遺伝子研究の権威。1953年大阪大学理学部化学科を卒業後,同科の特別研究生となる。1958年同大学微生物病研究所助手,1960年理学博士号取得。1961年カリフォルニア大学,1964年コレッジ・ド・フランスの研究員を経て,1966年ニューヨーク公衆衛生研究所癌ウイルス研究部長,1973年ロックフェラー大学教授,1998年同大学名誉教授となる一方,大阪バイオサイエンス研究所所長に就任,2005年同名誉所長。細胞生物学,分子腫瘍学を専門分野とし,鳥類の RNAウイルス(→レトロウイルス)を研究テーマに,ラウス肉腫ウイルスの研究で補助ウイルスの存在を発見,その感染には逆転写酵素が必要であること,さらにラウス肉腫ウイルスで活性化する癌遺伝子が細胞由来であることを発見するなど,独創的で影響力の大きい発見を数多くなした。1985年アメリカ科学アカデミー外国人会員,1991年文化功労者に選ばれ,2000年ロックフェラー大学名誉博士になるとともに日本学士院会員となる。1982年ラスカー賞,1993年ゼネラル・モーターズ・スローン賞,1995年に文化勲章受章。
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