RNAウイルス(読み)アールエヌエーウイルス(英語表記)RNA virus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「RNAウイルス」の意味・わかりやすい解説

RNAウイルス
アールエヌエーウイルス
RNA virus

遺伝子 (核酸) としてデオキシリボ核酸 DNA ではなくリボ核酸 RNAを含むウイルス。通常の生物はすべて,遺伝子として必ず DNAをもつ。ウイルスも自己複製を宿主細胞に行わせる遺伝子成分として,DNAをもつものが多いが,RNAウイルスは RNAのみをもつ。その場合の遺伝暗号の翻訳機構には,RNAを基準として DNAを合成する逆転写酵素 (または RNA依存性 DNAポリメラーゼ) が働いて,細胞内で DNA暗号に戻ったのち,通常と同様に解読され,蛋白質合成指令に用いられる。植物ウイルスは大部分が RNAウイルス。動物ウイルスでも,エイズ,ヒトT細胞白血病,小児麻痺 (ポリオ) ,インフルエンザなどの病原ウイルスが,RNAウイルスである。細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージにも,Qβ,f2 ,MS2,R17などの RNAウイルスが知られる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉 「RNAウイルス」の意味・読み・例文・類語

アールエヌエー‐ウイルス【RNAウイルス】

RNA virusRNA遺伝子としてもつウイルス総称。→DNAウイルス
[補説]ウイルス粒子の中で逆転写酵素によって遺伝子RNAをDNAに変換するRNAウイルスをレトロウイルスという。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

サルノコシカケ

サルノコシカケ科やその近縁のキノコの総称。日本では4科約40属300種が知られ,ブナ林に日本特産種が多い。樹木の幹につき,半円形,木質で厚く堅く,上面には同心円紋があるものが多い。下面には無数の穴があ...

サルノコシカケの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android