肝付(読み)きもつき

改訂新版 世界大百科事典 「肝付」の意味・わかりやすい解説

肝付[町] (きもつき)

鹿児島県南東部,肝属(きもつき)郡の町。2005年7月内之浦(うちのうら)町と高山(こうやま)町が合体して成立した。人口1万7160(2010)。

肝付町南東部の旧町。肝属郡所属。人口4786(2000)。大隅半島南東部に位置し,北東部に内之浦湾があり,南西は太平洋に臨む。肝属山地が北西部を占め山がちで,低地広瀬川,小田川の河口北方・南方地区)と,久保田川河口(岸良地区)に存在するにすぎない。斜面には段々畑が多くみられ,ポンカン,サヤエンドウの栽培が行われる。また,ブリ漁をはじめとする漁業も行われる。1962年に東京大学付属施設としてのちの鹿児島宇宙空間観測所(現,独立行政法人の宇宙航空研究開発機構・内之浦宇宙空間観測所)が東部の長坪台地に設置され,70年2月11日には日本最初の人工衛星〈おおすみ〉の打上げが行われた。内之浦湾の南を限る火崎ソテツの自生地で特別天然記念物に指定。

肝付町北西部の旧町。肝属郡所属。人口1万4737(2000)。大隅半島の中央に位置し,北東は志布志湾に臨む。町域のほとんどは国見山を中心とする肝属山地で,北西部にシラス台地と,肝属川および支流の高山川がつくる沖積平野が広がる。平安時代から戦国期末まで高山城を築いて島津氏に対抗した肝付氏の本拠地として栄え,近世薩摩藩の直轄地となって地頭が置かれた。志布志湾に面する波見は中世には倭寇(わこう)の拠点で,頭目の重氏は豪商として知られた。近世は薩摩藩有数の商港となり,琉球,大坂などとの交易でにぎわった。現在は米作を主体に,タバコ,ポンカンなどの栽培を行う農村である。塚崎古墳群高山城跡,二階堂家住宅などの史跡,文化財が多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報