精選版 日本国語大辞典 「聞渡」の意味・読み・例文・類語
きき‐わた・る【聞渡】
〘他ラ四〙 (「わたる」は継続を表わす)
① 長い間ずっと聞き続ける。聞いて過ごす。
※宇治拾遺(1221頃)九「よき男して、事かなひてありと斗(ばかり)はききわたりけるが」
② そこと聞いて、通り過ぎる。
※栄花(1028‐92頃)松の下枝「尋(たづ)ぬれど昔ながらの橋もなし跡(あと)をぞそれとききわたりける」
きこえ‐わた・す【聞渡】
〘他サ四〙
② (「きこえ」が、聞こえるの意の場合。「渡す」は、ある動作をあまねく行きわたらせるの意) あたり一面に聞こえるようにする。
※源氏(1001‐14頃)夕霧「山おろし心すごく、松のひびき木深(こぶか)くきこえわたされなどして」
きこえ‐わた・る【聞渡】
〘自ラ四〙
※源氏(1001‐14頃)葵「ひめ君は、としころきこえわたり給ふ御心ばへのよの人ににぬを〈略〉御心とまりけり」
※天草本平家(1592)二「ミヤコニ qicoyevatatta(キコエワタッタ) メイバガ アッタガ」
きき‐わた・す【聞渡】
〘他サ四〙
① あたり一帯の音を聞く。
② たえず聞く。
※源氏(1001‐14頃)宿木「ちかき寺の鐘の声もききわたさまほしくおぼえ侍を」
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