繰出(読み)くりだす

精選版 日本国語大辞典 「繰出」の意味・読み・例文・類語

くり‐だ・す【繰出】

[1] 〘自サ五(四)〙 何人かが勢いこんで、出てくる。また、出かける。くりいだす。
※新聞雑誌‐五号・明治四年(1871)四月二四日「ただちに河岸に繰出(クリダ)し、軍艦帰路を絶(たた)んとす」
[2] 〘他サ五(四)〙
① 糸や綱などを繰って順々に出していく。また、ものを順々に引き出す。くりいだす。
※雑俳・柳多留‐一〇五(1828)「繰り出して打法蔵寺縄」
手元から勢いよく突き出す。
幻影の盾(1905)〈夏目漱石〉「繰り出す槍の穂先には瞋恚(しんい)の燄(ほむら)が焼け付いて居る」
③ 事実を探り出す。
洒落本・短華蘂葉(1786)「馬場先ではな、といわうとして、ほんにどこまでくり出されやふもしれぬ」

くり‐だし【繰出】

〘名〙
① 順々に引き出すこと。
② 順々に引き出して伸ばし出すように作ってあるもの。
※歌舞伎・狭間軍記鳴海録(桶狭間合戦)(1870)二幕「くり出しの巻紙へ書くことよろしく」
釣り竿(ざお)の一つ。一番太い手元に納まるようになった継ぎ竿で、順々に引き伸ばして用いる。
上体を動かさず、脚を腰から左右順に前へ出すように歩くこと。→繰出あゆみ
浮世草子・好色一代女(1686)一「素足道中くり出しの浮歩(うけあゆみ)
遊里で、芸娼妓名の一覧表を配ること。座敷に出ている者の名を赤線で消し、空いている者の名がすぐわかるようになっている。明書(あきがき)

くり‐いだ・す【繰出】

[1] 〘自サ四〙 =くりだす(繰出)(一)
滑稽本浮世風呂(1809‐13)四「お乳母どのを軍師と頼み、前後に備を配りて、隊伍整々とくり出(イダ)すは、江戸流の盆踊
[2] 〘他サ四〙 =くりだす(繰出)(二)
大鏡(12C前)二「物をくりいだすやうにいひつづくるほどぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報