精選版 日本国語大辞典 「前後」の意味・読み・例文・類語
ぜん‐ご【前後】
〘名〙 (古くは「せんご」とも)
① ある場所を境にして、そのまえとうしろ。また、ある物体の前とうしろ。先後(せんご)。あとさき。
※浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)一「前後(センゴ)を見れども、いよいよないに極りける」 〔春秋左伝‐隠公九年〕
② 時間的なあとさきをいう。
※懐風藻(751)賀五八年宴〈伊支古麻呂〉「真率無前後、鳴求一愚賢」
(ロ) (副詞的に用いて) 時間的に、あとにもさきにも、あることの以前にも以後にも。
③ 書物などの前編と後編。また、ひと続きのものの初めから終わりまで。
※人情本・英対暖語(1838)二「中本の方は前後六冊でめでたしめでたしに満尾(おさまっ)てゐるから」
④ (━する) 順序が逆になること。あとさきになること。また、相違すること。
※玉葉‐寿永二年(1183)七月二八日「彼両人相並、敢不二前後一争権之意趣以レ之可レ知」
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「長次は昼からの酒に心みだれ、いふほどの事前後(ゼンゴ)して、ひとへにうつつのごとし」
⑤ (━する) あいだをあまり置かないで続くこと。相次ぐこと。続くこと。
※方丈記(1212)「路のほとりなる頭、すべて四万二千三百余りなんありける。いはむや、その前後に死ぬるもの多く」
※屋根裏の法学士(1918)〈宇野浩二〉「彼の卒業と前後して」
まえ‐しりえ まへしりへ【前後】
〘名〙
① 弓の競射などで、前手組と後手組。
※蜻蛉(974頃)下「二月十五日に、院の小弓はじまりて、出居などののしる。まへしりゑわきてさうぞけば」
※源氏(1001‐14頃)絵合「上の女房、まへしりへとさうぞきわけたり」
まえ‐うしろ まへ‥【前後】
〘名〙
① 前と後ろ。また、過去と未来。あとさき。
※古今著聞集(1254)九「矢を一手給へかし。其的串の前うしろをいん」
② 衣服などの、前と後ろがあべこべになっていること。また、そのさま。うしろまえ。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報