綺麗・奇麗(読み)きれい

精選版 日本国語大辞典 「綺麗・奇麗」の意味・読み・例文・類語

き‐れい【綺麗・奇麗】

〘形動〙
① 美しくはなやかなさま。きらびやかなさま。うるわしいさま。美麗。〔伊呂波字類抄(鎌倉)〕
太平記(14C後)一〇「今朝までは奇麗(キレイ)なる大廈高墻(たいかかうしゃう)の搆(かまへ)忽に灰燼と成りて」 〔晉書‐何曾伝〕
② 姿、顔形などが、さっぱりとして美しいさま。
※玉塵抄(1563)六「汗のごいをとりだいてかをを拭たればなをきれいに白かったぞ」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「アノ、奇麗(キレイ)なお女中でございませう」
③ 澄んで清らかなさま、清浄
※正法眼蔵(1231‐53)伝衣「おほよそ此土佗界の仏道に、清浄奇麗をもちゐるには、この十種それなるべし」
④ 耳に聞いて心地よく美しいと感じるさま。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「『まことに感心なお声でございますよ』『ハイサ、さやうでございますよ。細くてお奇麗(キレイ)で、意気で能く立て』」
⑤ きたなげがなく、さっぱりしているさま。こざっぱりしているさま。清潔
四河入海(17C前)一七「我に掃地の奇麗なるを見せらるる程にぞ」
⑥ やましさや、こだわり、悪意などがないさま。いさぎよいさま。
浄瑠璃・鎌田兵衛名所盃(1711頃)上「然らばきれいに御前にて、打ち明けて申されよ」
物事が残りなく行なわれてすっきりしているさま。曇りがなくすっきりしているさま。
※浮世草子・好色一代男(1682)八「惣じて役者子共の世の暮し、けふあって明日は雪の柳のごとし。きれいにほどなくもとの木男となりぬ」
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉二「無縁坂を降りてしまふ頃には、もう女の事は綺麗(キレイ)に忘れてゐた」
⑧ やり方のあざやかなさま。
洒落本・契国策(1776)北の方「きれいに遊んで早くやめるが大とをりものなるべし」
⑨ 整っているさま。整然として欠けたところのないさま。
※俳諧・貝おほひ(1672)二九番「手もまめなる所あらはれて、きれい成発句也」
⑩ 特に男女間で、肉体関係のない清らかなさま。また、純潔であるさま。
※玉塵抄(1563)一「清富はおっとももたずして僧や比丘尼の如に身もちきれいにしてしかもとんでたのしいぞ」
[補注]意味の類似、および、語形の「きれい」が形容詞に似ているところなどから、「きれいかった」の形が使われることもある。「あんたみたいに綺麗かったら一緒に歩いててもちゃうどええけど」〔卍〈谷崎潤一郎〉二〇〕など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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