竜雲寺(読み)りゆううんじ

日本歴史地名大系 「竜雲寺」の解説

竜雲寺
りゆううんじ

[現在地名]三隅町芦谷

高城たかじよう山の南側中腹、標高約二〇〇メートルにある。海蔵山と号し、曹洞宗本尊釈迦如来。嘉吉元年(一四四一)三隅信兼が美濃郡たね(現益田市)より移したという。開山は無端祖環で、種に竜雲寺を開いたのは永徳二年(一三八二)のことという。元亀元年(一五七〇)三隅高みすみたか城落城の際兵火にかかり堂宇焼失し、同年間益田氏が再興して旦那となり、本堂を再建したという。天保七年(一八三六)浜田藩主松平(松井)周防守家の奥州棚倉たなぐら(現福島県棚倉町)への転封に伴い、その菩提寺であった浜田城下蛭子えびす町の長安ちようあん院の本堂を譲り受け、同一一年に再建されたものが現在の本堂で、周防守家の蔦紋が随所にみられる。

竜雲寺
りゆううんじ

[現在地名]身延町下山

粟倉あわぐら山の南東麓に位置する。華岳山と号し、曹洞宗。本尊は十一面観音。「寺記」および「甲斐国志」によると、享禄三年(一五三〇)穴山甲斐守信綱が菩提寺として山梨郡古府中こふちゆう(現甲府市)大泉だいせん寺開山天桂禅長の法嗣悦江聚歓を開山に迎えて建立した。古くは現在地より五〇〇メートルほど奥地にあり、不動明王を祀る真言宗寺院であったが、天永二年(一一一一)山崩れにより現在地に移ったという(身延町誌)穴山氏の手厚い保護を受け、永禄一二年(一五六九)一〇月九日に駿河国興津おきつのうちの小島おじま(現静岡県清水市)「鳳栖院」を末寺とし(「穴山信君判物」竜雲寺文書)、穴山信君死後の天正一一年(一五八三)八月二七日にはその子勝千代より普請諸役を免除されている(「穴山勝千代印判状」同文書)

竜雲寺
りゆううんじ

[現在地名]標津郡標津町南六条西一丁目

標津市街地中心の南部にある。標津山と号し、曹洞宗。本尊は釈迦如来。明治一七年(一八八四)青森県砂子又すなごまた(現東通村)円流えんりゆう寺住職堀泰領の徒弟堀泰禅は標津村で布教を行い、信者が増えたことから有力檀徒と寺の創立を図り本寺に出願、同一九年七月に許可を受けた。泰禅は敷地を寄付し、同二三年本堂完成。函館高龍こうりゆう寺一八世国下海雲を開山として請い、泰禅は二世となった。高龍寺を中本山とする(「標津山竜雲寺概要史」など)

竜雲寺
りゆううんじ

[現在地名]佐久市岩村田 住吉

曹洞宗、山号は大田山、本尊十一面観音。

「往昔臨済宗にして号大智山、開闢いつれといふ事をしらす(中略)其先大井郷端下はけの平といふ所にあり」(四鄰譚藪)と伝える。文明一五年(一四八三)祥貞禅師が曹洞宗に改め、大田山とした(大田実録)。翌一六年村上氏の大井城侵攻に際し、本寺も大破し、祥貞禅師は一時上野国に帰ったが、「明応三年再来して旧地端下の平を捨て、城西に寺を再造」(同書)した。佐久に侵入した武田信玄は、永禄年中(一五五八―七〇)越後国魚沼郡雲洞院より北高禅師を迎えて中興とし、外護に努め、北高は元亀三年(一五七二)戦没将士のために千人法幢を行い、信濃国領内曹洞宗会下のための法度を広める(竜雲寺文書)など寺運を高めた。

竜雲寺
りゆううんじ

[現在地名]佐賀市八戸一丁目

旧長崎街道の北にある。曹洞宗で開山は大用。山号は慶聚山。本尊は釈迦如来。もと八戸氏の居城、八戸城のあった所。天文元年(一五三二)竜造寺家重が、村中竜造寺氏の竜造寺家和(家員)養子となった於保胤宗(もと八戸氏)の妻(竜造寺家兼の娘悦心妙慶)などを弔うために建立したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「竜雲寺」の意味・わかりやすい解説

竜雲寺
りゅううんじ

長野県佐久市岩村田にある曹洞(そうとう)宗の寺。山号は大田山。本尊は十一面観音(かんのん)。1312年(正和1)大井美作守(みまさかのかみ)玄慶(げんけい)を開基とし、浄学天仲(じょうがくてんちゅう)を開山として建立された。1484年(文明16)兵火にかかったが翌年小諸(こもろ)城主の大井氏が再建、上州(群馬県)碓氷(うすい)郡後閑(ごかん)村の長源寺住職祥貞(しょうてい)を迎えて開山とし、臨済(りんざい)宗より曹洞宗に改めた。1556年(弘治2)越後(えちご)(新潟県)の雲洞庵(うんとうあん)にいた北高禅師が甲斐(かい)国主武田晴信(はるのぶ)の招きで来寺して中興開山となり、この寺は「東山道八州法窟(ほうくつ)」の僧録(そうろく)所となった。1589年(天正17)火災にあったが小諸城主芦田康国(あしだやすくに)が再建。寺宝には中興の北高、晴信にかかわるものが多く、信玄(晴信)供養(くよう)塔、北高使用の鉄鉢(てっぱつ)や笈(おい)、信玄文書、勝頼(かつより)文書などがある。

菅沼 晃]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

事典・日本の観光資源 「竜雲寺」の解説

竜雲寺

(長野県佐久市)
信州の古寺百選指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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