立売(読み)たちうり

精選版 日本国語大辞典 「立売」の意味・読み・例文・類語

たち‐うり【立売】

[1] 〘名〙 一定場所に店を構えないで、路傍や祭の境内などで立ちながら物を売ること。
※内閣文庫本建武以来追加‐応安二年(1369)二月二七日「禁制〈略〉車いけ商買、四条町の立うり」
[2] 京都地名。四条立売、または上京区上立売通室町付近の旧称
※虎明本狂言・長光(室町末‐近世初)「たちうりから、てらなど見物して、うり物をほむる」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「立売」の解説

立売
たちうり

中世~近世に特定店舗をもたず路上でする商売,またその商人徴収は不明な点が多い。宇治六斎市では立売に対して座売の半額(5銭)の市場課役を徴収した。1369年(応安2・正平24)室町幕府は京都四条町での立売を禁止しているので,この地域で立売が盛んに行われたことがわかる。

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世界大百科事典(旧版)内の立売の言及

【振売】より

…連著,連雀(れんじやく)などともいう。また振売は,特権的営業権を認められた座商人の座売に対する自由かってな商い,すなわち脇売を指すこともあり,立売とも呼ばれ,禁じられる場合もあった。江戸時代には振売は商品を持ち歩いて売ることをいい,せり売とも触売(ふれうり)ともいった。…

【物売】より

…街頭で商品を売る者のことで,近世には品物を手や肩にかけて移動しながら売り歩く振売と,大道や神社仏閣の境内などに見世(みせ)を出し移動せずに商売する立売とがあった。振売は〈棒手振(ぼてふり)〉ともいい,荷箱や荷ざるに品物を入れ天秤棒(てんびんぼう)で担ぐもの(魚売,酒売,豆腐売など),商品を手で持って売るもの(双六(すごろく)売,宝船売,暦売など),台輪に商品を載せて担ぐもの(桜草売,植木売など),挟み箱を担ぐもの(薬売),市松模様の屋根の屋台で売るもの(虫売),弁慶に差して売るもの(鉢たたき,つくり花売,ほおずき売),傘をさした物売(飴売),品物を入れた箱を背負った物売(筆墨売,羅宇屋(らおや)),箱を肩にかけた物売(お豆さん売),箱を首にかけたもの(だんご売,しゃぼん玉売),引出し付の小箱を手でさげて売りにくるもの(煙草売,歯磨売),品物を頭にのせてくる物売(女の魚売),箱を片方の肩に担ぐもの(鮨売)などがあった。…

※「立売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」