砂入遺跡(読み)すないりいせき

日本歴史地名大系 「砂入遺跡」の解説

砂入遺跡
すないりいせき

[現在地名]出石町田多地 持アミ

田多地ただち集落南方に位置する。当地を含む出石盆地の北東部(袴狭地区)は北側の丘陵裾を縫うように六方ろつぽう(小野川)が、南は出石川の支流である袴狭はかざ川が流れ、両河川によって低湿地が形成されている。標高は三―六メートルの低位で、現在でもたびたび水害を受ける地域であるが、六方川上流域の口小野くちおの荒木あらき遺跡、下流域に当遺跡、袴狭川流域に袴狭遺跡がある。これらの遺跡は個別の遺跡名で扱うことが通常であるが、八世紀から九世紀の同時代の遺跡であり、相互に関連性を有していたと想定できることから袴狭遺跡群として論じることもある。うち当遺跡は弥生時代前期以降の遺物出土もあるが、中心は八世紀から九世紀にかけての祭祀遺跡である。

昭和六二年(一九八七)から平成七年(一九九五)まで連年発掘が行われた。遺構は六方川の旧河道・溝およびそれらに伴う杭列・柵が大半で、律令期における河川利用の祭祀儀礼を復元できるほどの良好な出土状況を示している。遺構は大きく上下二層に分けられるが、さらに祭祀形態から次のような推移が想定できる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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