広葉樹
こうようじゅ
針葉樹の対語で、大きな葉をもつ被子植物のうちの双子葉類の樹木のこと。闊葉樹(かつようじゅ)ともいう。熱帯に起源し、常緑広葉樹から落葉性のような寒冷適応、硬葉性のような乾燥適応の獲得とともに北方乾燥地域に分布を広げた。風媒花を主とする針葉樹に対して、大形の花をもち、昆虫を誘引して受粉する様式が発達している種が多い。現在、地球上でもっとも広く分布し、優占している植物である。広葉樹の材は硬材とよばれ、繊維が基本的な組織となっており、一般に硬い。葉は網状脈で、内皮はみられない。常緑広葉樹と落葉広葉樹に分けられるが、熱帯から暖温帯までの湿潤地域は常緑樹、明瞭(めいりょう)な乾期をもつ地域では雨緑林を形成する落葉樹、地中海式気候の地域には硬葉樹が分布する。さらに北の温帯地方は落葉広葉樹が主体である。日本では冷温帯にブナ、カエデ類、カンバ類、ミズナラ、コナラなどの落葉樹、暖温帯にタブノキ、スダジイ、アカガシなどの常緑広葉樹が分布する。これらの常緑樹は葉面に光沢があり、照葉樹ともよばれる。
[大澤雅彦]
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こうよう‐じゅ クヮウエフ‥【広葉樹】
〘名〙 被子植物の双子葉類に属する木本植物。一般に葉面の広い葉をもつのでこの名がある。熱帯から温帯にかけて広く分布し、クスノキ、
ツバキ、
シイなどの常緑広葉樹、カエデ、クリ、ブナなどの落葉広葉樹などに分けられる。イチョウはその葉が幅広い葉面をもつが裸子植物なので広葉樹とは呼ばない。旧称、闊葉
(かつよう)樹。⇔
針葉樹。
※米欧回覧実記(1877)〈
久米邦武〉一「皆人為の樹林にて、広葉樹をうえ」
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広葉樹【こうようじゅ】
濶葉樹(かつようじゅ)とも。針葉樹の対。双子葉植物で,葉が広くて平たく,あまりかたくない樹木をいう。落葉性と常緑性とがあり,北半球では熱〜温帯に集中的に自生する。
→関連項目造林
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デジタル大辞泉
「広葉樹」の意味・読み・例文・類語
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広葉樹
樹木を葉の形態で分類した名称で、ケヤキ、ブナ、ナラ、ツバキなど扁平な葉をもった樹木をいう。
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こうようじゅ【広葉樹 broad‐leaved tree】
針葉樹の対語で,葉の幅が広い樹木の意味であるが,実際には被子植物双子葉類に属する樹木を総称し,葉の幅が広くても,裸子植物のナギや単子葉類のヤシは含まない。広葉樹には常緑性と落葉性のものがあり,落葉性は乾季や冬季など生育に不適な季節の出現に対応して生じたと考えられている。熱帯から暖帯までの湿潤な地域には常緑広葉樹が,熱帯でも乾季の存在する地域や温帯では落葉広葉樹が優占するのがふつうである。針葉樹と比べると,一般に,幹はまっすぐでなく,枝との区別がつかず,こずえがはっきりしない。
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世界大百科事典内の広葉樹の言及
【針葉樹】より
…広葉樹の対語で,針状の葉をもつ樹木という意味ではあるが,実際には裸子植物の針葉樹類(球果植物類)に属する樹木を総称する。したがって,イチョウやソテツは含まないが,葉の幅は広くてもナギは含まれる。…
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