矢筈岳(読み)やはずだけ

日本歴史地名大系 「矢筈岳」の解説

矢筈岳
やはずだけ

出水市の北部、熊本県水俣市との境界にそびえる山で、標高六八七メートル。国見くにみ山地(肥薩山地)の西端を占め、浸食の進んだ晩幼年期のコニーデ式(トロイデ式とする説もある)火山である。紫尾しび山系の形成時代以後に噴出した火山岩によってできた地塊で、溶岩が広い割れ目から流出したため噴火口は明らかでない。地質は従来両輝安山岩とされているが、カンラン石を含むことなどから玄武岩に近いもののようである。頂上は二つの峰に分れており、低いほうを雌岳、高いほうを雄岳と称する。さらに雄岳は頂上が二つ(南北)に分れ、熊本県側からみれば、箭の筈のようにみえたことが山名の由来といわれる(三国名勝図会)

矢筈岳
やはずだけ

熊本と鹿児島の県境にそびえ、標高六八七・三メートル。山頂部が二つに分れて矢筈のようになっているのが名の由来という。「国誌」に「箭筈嶽」として「肥薩二州ノ堺、神ノ川水源ハ此山間ヨリ出ツ、万木鬱蒼トシテ半腹ヨリ上ハ草径タモ無之程ニテ上リ二里ト云、絶頂ニ権現堂アリ、里俗此堂ハ両国ノ堺ニアリテ柱三本ハ薩州、一本ハ葦北ノ地也ト云、登望スルニ薩州渋江・名古浦・長島、肥前ノ島原・五島・大村・長島・千々石・唐津等ノ肥前地天ヲ侵シ、天草久玉嶽、米ノ浦、久呂ノ迫門、獅子カ島、金峰山・経ノ尾・三嶽、宇土山・三角嶽等直下ニ見ヘ、葦北郡ハ衆山ノミ簇々トシテ人家見ヘ難シ、此山薩州ニカヽリタル山続キ、艮東ニハ大山多シ」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「矢筈岳」の解説

矢筈岳 やはずだけ

中津彦太郎(なかつ-ひこたろう)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の矢筈岳の言及

【姫島】より

…人口2996(1995)。四つの島が砂州でつながった東西に細長い島で,最高峰矢筈(やはず)岳(267m)は,山陰系の鐘状火山である。観音崎の黒曜石,大海(おおみ)の地層褶曲,ナウマンゾウの化石など地質学的に貴重なものが多く,〈地質学の標本室〉と呼ばれている。…

※「矢筈岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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