着流(読み)きながし

精選版 日本国語大辞典 「着流」の意味・読み・例文・類語

き‐ながし【着流】

〘名〙
能装束で、大口(おおぐち)、半切(はんぎり)などの袴(はかま)類をつけず、縫箔(ぬいはく)、唐織(からおり)などのままのいでたち。
※波形本狂言・老武者(室町末‐近世初)「祖父 角頭巾、小がうし、着ながし」
② 男性の和装の略装。羽織、袴をつけない、着物だけの服装。くだけた身なり。
浮世草子・傾城色三味線(1701)鄙「あたまから頼義公ゑぼしもなくて、着(キ)ながしにてぬれの所」
※懇親会(1909)〈森鴎外〉「軍服とフロックコオトとジャケツ羽織袴着流しと、次第もなく入り乱れてゐる」
③ いつも着ていること。着古したこと。
※評判記・色道大鏡(1678)三「天職よりは小袖をもつかはす、又帯をもやる、又着(キ)ながしの小袖をもつかはす」
衣装つき。着つけ様。いでたち。
※浮世草子・好色一代男(1682)三「はした腰(こし)もと召連(めしつれ)、おもひおもひの着(キ)ながし」

き‐なが・す【着流】

〘他サ五(四)〙
① 衣装などをだらりと身につける。
※浄瑠璃・門出八島(1689頃)役所尽し「小桜縅、綿上高に着流し」
② 羽織、袴(はかま)をつけないで、着物を着る。改まらない気楽な服装をする。
落語・粗忽の使者(1891)〈三代目三遊亭円遊〉「宅に居ると着流して御坐るから」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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