的始(読み)まとはじめ

精選版 日本国語大辞典 「的始」の意味・読み・例文・類語

まと‐はじめ【的始】

〘名〙 年頭、または、弓場(ゆば)新造の際に射手を選んで新装の的を射ること。また、その儀式武家の間では鎌倉時代から行なわれ、射手の組み方などに慣例を生じ、また、将軍も臨席した。江戸幕府では正月一一日が、この式日とされた。弓始(ゆみはじめ)弓場始(ゆばはじめ)。《季・新年》
吾妻鏡‐文治四年(1188)正月六日「御酒宴最中、有御的始

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「的始」の意味・わかりやすい解説

的始
まとはじめ

鎌倉時代に始まる武家の正月行事で、新年に射術を試す儀式。将軍の御所で行う競技なので、御所的ともいう。射手10人、または12人が10回ずつ、五番五度の弓射をする。1189年(文治5)正月3日が初め。足利(あしかが)氏はこれを先例として、毎年正月17日に行った。足利氏では射手の長を弓太郎と称し、射手6人で三番三度としたという。

 将軍も儀式に参列し、将軍自らも射ることもあったが、その後一時中絶。1729年(享保14)徳川吉宗(よしむね)のとき再興以後は正月11日を恒例とした。

山中 裕]

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世界大百科事典(旧版)内の的始の言及

【弓場始】より

…武家の歳首の年中行事。弓始,的(まと)始ともいう。流鏑馬(やぶさめ),笠懸,犬追物などのような騎射に対して,正月に催される弓矢の行事の多くは,歩射つまり徒歩で矢を射た。…

※「的始」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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