白鳥郷(読み)しらとりごう

日本歴史地名大系 「白鳥郷」の解説

白鳥郷
しらとりごう

長瀞ながとろ町から皆野町にかけての荒川沿岸を郷域としたと考えられる中世郷で、丹党に属する白鳥氏の本貫地とされる。貞治二年(一三六三)五月一六日の足利基氏寄進状写(相州文書)に「秩父郡白鳥郷内青木彦四郎入道□」とみえ、当郷などが天下安全・武運長久のために鎌倉の法華堂に寄進されている。これは上杉憲顕の関東管領就任に反対して挙兵した宇都宮氏綱・芳賀禅可に青木氏が与同したための処置であろう。応永二五年(一四一八)三月二八日の足利持氏御判御教書(安保文書)によれば、安保宗繁・同満春らの訴えを受けた鎌倉公方足利持氏は「白鳥郷内田畠在家」などに対する本庄左衛門入道や白鳥六郎らの押妨を退け、下地を宗繁・満春らに沙汰し付けるように横瀬美作守らに命じている。

白鳥郷
しろとりごう

和名抄」に「白鳥」と記され、訓を欠く。「常陸国風土記」香島かしま郡の項に「郡の北三十里に白鳥の里あり。古老のいへらく、伊久米の天皇のみ世、白鳥ありて、天より飛び来たり、僮女と化為りて、夕に上り朝に下る。石を摘ひて池を造り、其が堤を築かむとして、徒に日月を積みて、築きては壊えて、え作成さざりき。僮女等、(中略)天に升りて、復降り来ざりき。

白鳥郷
しろとりごう

「和名抄」高山寺本には記載されない。東急本・元和古活字本に「白馬」とみえるが、訓を欠く。「白馬」は「白鳥」の誤記とされ、北上川右岸の近世村胆沢郡白鳥村(現前沢町)一帯に比定される。「延喜式」兵部省諸国駅伝馬条にみえる白鳥駅は当郷に所在したと考えられる。

白鳥郷
しろとりごう

「和名抄」高山寺本は「之良止利」、東急本は「之呂止利」と訓を付す。平城宮跡出土木簡に「大内郡白鳥郷」とある。承平五年(九三五)六月一三日の太政官符(政事要略)には白鳥郷戸主阿蘇豊茂がみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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