田村郷(読み)たむらごう

日本歴史地名大系 「田村郷」の解説

田村郷
たむらごう

和名抄」高山寺本・刊本とも訓を欠くが、土佐国田村郷を刊本は「多無良」と訓ずるので、当郷も「たむら」であろう。

初見は平城宮出土木簡で、貢進付札に「丹後国熊野郡田村郷神人丈万呂五斗」「丹後国熊野郡田村郷刑夜恵五斗」とみえる。古代の田村郷についてはこれ以外に史料がなく不詳だが、建久二年(一一九一)一〇月日付長講堂所領注文(島田文書)に記される長講堂領田村庄が郷域内に立荘されている。

田村郷
たむらごう

[現在地名]秩父市田村

寺尾てらお村の南西方丘陵地にあり、北東蒔田まいた村、北は品沢しなざわ村、南西は長留ながる(現小鹿野町)。丘陵谷間を流れる蒔田川の上流域に田畑が開ける。寺尾村とは小鹿坂おがさか峠越で結ばれる。地名の起りは往古、田村権守という者が住していたためと伝える(風土記稿)。田園簿には高二五三石余・五〇貫七六八文とあり、幕府領。寛文三年(一六六三)忍藩領となる。元禄郷帳では高三〇一石余、享保一八年(一七三三)幕府領に復し(「風土記稿」など)、幕末の改革組合取調書によると旗本牧野領。

田村郷
たむらごう

「和名抄」高山寺本・東急本ともに「田村」と記し、東急本は「多无良」と訓ずる。「性霊集」(巻八)の僧真体願文に「謹以天長三年十月八日、先人所遺、土左国久満并田村庄(中略)永奉入神護寺伝法料」とあり、早くから荘園化されていたらしい。「土佐幽考」は「在石村郷之南」とし、「日本地理志料」は「秦氏検地帳、香美郡上田村ノ荘、下田村ノ荘、元禄検田帳、田村ノ荘、管前浜・下島・上田村・下田村ノ四邑」と記す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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