生駒聖天(読み)いこましょうてん

改訂新版 世界大百科事典 「生駒聖天」の意味・わかりやすい解説

生駒聖天 (いこましょうてん)

生駒山宝山寺。奈良県生駒市にある真言律宗の大本山。都史陀山,般若窟とも称す。生駒山の中腹火丘の突起した岩峰の直下にある。役行者開基,弘法大師修行の所と伝えるが,江戸時代1678-79年(延宝6-7)湛海(たんかい)律師が入山するに及んで一大発展をみた。湛海は字名を宝山と号し,現,三重県津市の出身。江戸初期の戒律復興宗学振興の気風をうけて密教を学び,戒律を修め,諸方を遍歴ののち,生駒山般若窟に入り一寺を開いて初め大聖無動寺と号した。不動明王,歓喜天(聖天)を安置し,不動護摩や聖天法などの修法を重ね,数多の法験を現した。みずから仏像彫刻や仏画を手がけ,とくに不動明王の彫刻に秀作を残している。代表作に厨子入木造五大明王像(重文)などがある。その後,歓喜天は商売繁盛の守護仏として大阪を中心に全国的な信者を獲得し,近鉄が開通しケーブルカーがつくにおよんでその玄関口生駒は門前町としての発展をみた。境内にある獅子閣は明治の洋風建築として重文指定をうけている。宝山寺福祉事業団(児童養護施設,保育所など)がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生駒聖天」の意味・わかりやすい解説

生駒聖天
いこましょうてん

宝山寺

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