精選版 日本国語大辞典 「犯・侵・冒」の意味・読み・例文・類語
おか・す をかす【犯・侵・冒】
〘他サ五(四)〙 物理的・心理的に抵抗して、作用するものを排除する行ないをとる。
① じゃまになる物事を乗り越える。押し切って行なう。しのぐ。
③ 他のものの権利や権限を自分のものにする。侵害する。
(イ) 他人や他国の領分や土地などに不法にはいり込む。侵犯する。侵略する。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六「多く他方の怨賊有りて侵(ヲカシ)掠(かす)まむ」
(ロ) 他人の姓を名乗る。
※続日本紀‐神護景雲二年(768)五月丙午「取二真人朝臣一立レ字、以レ氏作レ字。是近レ冒レ姓」
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「阿師、既に天威を触(ヲカシ)つ」
⑤ 人や生物を襲って危害を加える。特に、肉体関係を女性に強制する。姦淫する。
※書紀(720)用明元年五月(図書寮本訓)「穴穂部皇子、炊屋姫皇后を姧(ヲカサム)と欲して」
※発心集(1216頃か)七「諸の悪事、をりにつけつつ皆身をおかす」
⑦ 他人に逆らう。反対する。
⑧ 下の人が上の人に願い求める。
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