牧草用機械(読み)ぼくそうようきかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「牧草用機械」の意味・わかりやすい解説

牧草用機械
ぼくそうようきかい

牧草地の更新、種播(ま)きから、牧草を刈り取り調製して、収納舎やサイロなどに収納するまでの間に使われる機械の総称。牧草収穫用機械の種類は非常に多く、古くから使われている。1800年代の後期には鎌(かま)を中心とした人力作業にかわって畜力を利用した草刈り機(モーア)が現れた。ついで、刈った草を反転させ乾燥促進させるヘイテッダーhay tedder、乾いた草を列状に集めるヘイレーキhay rake、運搬車に積み上げるヘイローダーhay loaderが使われた。その後、ヘイプレスhay press、ヘイベーラーhay balerの出現により干し草直方体に圧縮梱包(こんぽう)することができるようになり、また円柱状に梱包するロールベーラーもあり、牧草の貯蔵や運搬が容易となった。1900年代に入るとトラクターの利用が増え、牧草用機械もトラクター牽引(けんいん)式や直装式となり、大型は自走式となっている。牧草収穫用機械は生草給与作業にも使うが、大別すると、干し草調製用とサイレージ(乳酸発酵させた飼料)調製用に分けられる。第二次世界大戦後に牧草用機械の改良・開発も著しく進み、とくにフォレージハーベスターforage harvesterの出現が省力的なサイレージ生産を可能にした。

 収穫用機械のおもなものは次のとおりである。

(1)モーアmower 牧草刈取り機。

(2)モーアコンディショナーmower conditioner 刈取り圧砕機。刈取りと同時に牧草の茎葉を圧砕して乾きやすくする。

(3)テッダー・レーキ 牧草の反転と草集めができる機械。

(4)ヘイベーラー 乾草梱包用に開発・利用されたが、雨の多い日本では高水分の草を梱包してサイレージにするときにも使われる。梱包の形は直方体と円柱状で、大きさには8キログラムから800キログラムまでの幅がある。

(5)フォレージハーベスター 牧草を刈り取りまたは拾い上げ、細かく切断して運搬車に吹き上げる機械。トウモロコシソルガムなどの飼料作物専用の機械はコーンハーベスターとよんでいる。

(6)運搬用機械 普通の運搬車のフォレージワゴンforage wagonのほかに、コンベヤーエレベーターの荷降ろし装置付きのもの、拾い上げ切断装置付きのローディングワゴンself-loading wagon、フォレージハーベスターと一体としたものなどがある。

(7)ベールラッパーbale wrapper ベール(梱包した牧草)をプラスチックフィルム密封し、サイレージ発酵をさせ貯蔵飼料とする。ロールベーラーとラッパーを一体化し、梱包と密封を同時にできるベールラッパーもある。

[原 令幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例