精選版 日本国語大辞典 「清掻・菅掻」の意味・読み・例文・類語
すが‐がき【清掻・菅掻】
〘名〙
① 和琴(わごん)の奏法の一つ。もっとも単純で基本的な手法で、全部の弦を一度に弾いて、一本の弦だけの余韻を残すように、他の弦を左指で押える。向こうから手前に弾く順掻と、手前から向こうに弾く逆掻と二通りある。本来は菅をもって掻いたことから出た名称ともいう。
③ 俗箏(ぞくそう)の曲で、歌詞のない器楽曲。「六段菅掻(菅攬)」など。
※浮世草子・好色二代男(1684)八「玉琴に須賀垣(スガガキ)をのせ、三筋になげぶし」
⑤ 三味線で、第二・第三の二弦を同時に弾く音と、第三弦をすくう音とを交互にチャン・ラン・チャン・ランと弾くもの。江戸の吉原の遊女が、毎夕、店先の格子の中で、ゆっくりしたテンポで弾いた「見世すががき」に始まり、諸種の三味線曲の中に用いられる。歌舞伎の下座音楽では、吉原の場面の幕明きや人物の出入り、せりふの伴奏として用いる。
※洒落本・水月ものはなし(1758)中「すががきを弾(ひき)出すと、壁にすはった新造が、猿子ねぶりをはじめ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報