海津(市)(読み)かいづ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「海津(市)」の意味・わかりやすい解説

海津(市)
かいづ

岐阜県南西部にある市。2005年(平成17)海津平田(ひらた)、南濃(なんのう)の3町が合併して市制施行。西と南は三重県、東は愛知県と接する。東端を長良川(ながらがわ)、木曽川(きそがわ)が、中央を揖斐川(いびがわ)が流れている。そのほか市内には大江川、中江川、津屋川、大榑(おおぐれ)川などが流れ、水郷(すいごう)地域を形成している。養老鉄道、国道258号が通じる。水田地帯で米作が盛んであるが、トマト、イチゴなどの施設園芸も行われる。また、西部の養老山地山麓(さんろく)ではカキ園やミカン園が広がる。海津地区の中心地である高須(たかす)は江戸時代には高須藩3万石の城下町として発展した。また、北部の平田地区の今尾には港が築かれ、河川交通の要衝として商業が栄えた。かつては、水害から守るために輪中(わじゅう)を築き、避難場所として水屋を設けるなど、輪中地帯独特の景観を示していたが、土地改良や排水機設置などにより大きく姿を変えている。市の南端の油島(あぶらじま)には、宝暦(ほうれき)(1751~1764)の治水工事で犠牲になった薩摩藩家老平田靫負(ゆきえ)(1704―1755)らの霊を祀る治水神社や千本松原(県立自然公園)があり、国営木曽三川公園のセンター施設水と緑の館、展望タワーもある。海津地区の福江には海津温泉がある。南濃地区には縄文時代の庭田・羽沢(はざわ)貝塚がある。平田地区の須脇(すわき)にある「お千代保稲荷(おちょぼいなり)」は商売繁盛の神として多くの参拝者を集めている。また、今尾の左義長(さぎちょう)は2月に行われ、県の重要無形民俗文化財に指定されている。なお、海津地区にある歴史民俗資料館では、失われていく輪中の生活や低地農業などの紹介が行われている。面積112.03平方キロメートル、人口3万2735(2020)。

[上島正徳]

『『海津町史』全6巻(1969~1984・海津町)』


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