福江(読み)ふくえ

精選版 日本国語大辞典 「福江」の意味・読み・例文・類語

ふくえ【福江】

長崎県西部の地名。旧市名。古くは遣唐船寄港地江戸時代は五島氏一万二千六百石の城下町五島列島の中心都市として栄えた。平成一六年(二〇〇四)周辺の町と合併して五島市となる。

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デジタル大辞泉 「福江」の意味・読み・例文・類語

ふくえ【福江】

長崎県、五島列島南部にあった市。福江島東部・久賀ひさか島・かば島などを市域とした。もと五島氏の城下町。平成16年(2004)富江町玉之浦たまのうら町、三井楽みいらく町、岐宿きしく町、奈留なる町と合併して五島市となる。→五島

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「福江」の意味・わかりやすい解説

福江
ふくえ

長崎県五島列島(ごとうれっとう)の南松浦(みなみまつうら)郡にあった旧市名(福江市)。現在は五島市(ごとうし)の中央東部を占める。旧福江市は1954年(昭和29)福江町と奥浦(おくうら)、崎山(さきやま)、本山(もとやま)、大浜(おおはま)の4村が合併して市制施行。1957年樺島(かばしま)、久賀(ひさか)の2村を編入。2004年(平成16)富江(とみえ)、玉之浦(たまのうら)、三井楽(みいらく)、岐宿(きしく)、奈留(なる)の5町と合併、五島市となる。旧福江市域は、五島列島の南部に位置する福江島東部のほか、久賀島(ひさかじま)、椛島(かばしま)、ツブラ島多々良(たたら)島、屋根尾(やねお)島、蠑螺(さざえ)島、黄(おう)島、赤(あか)島、大板部(おおいたべ)島、小板部(こいたべ)島、さらに南方の男女(だんじょ)群島などを含み、面積158.14平方キロメートル。五島列島の政治、経済、文化の中心である。福江島東部には国道384号が通じる。福江港からは、長崎港や五島各地へジェットフォイルやフェリーの便がある。福江空港は、長崎空港(大村市)、福岡空港への空路を有し、西海国立公園(さいかいこくりつこうえん)の玄関口をなす。福江港に隣接する中心地区は、古くは深江(ふかえ)とよばれ、福江藩五島氏約1万5000石の城下町であった。石田城(いしだじょう)(福江城)は1863年(文久3)造営の日本最後の築城で、石垣、堀が残り復興城門がある。石田城五島氏庭園は国の名勝城址(じょうし)周辺は1932年(昭和7)に着手された埋立てによって市街地化され、近代的港湾は1970年に完成。港湾周辺の埋立地にはターミナルビルやホテル、漁協、製氷会社などが集中している。石田城以前の城は福江川に沿う江川(えがわ)城であったが、1614年(慶長19)家臣の謀反により全焼した。武家屋敷は仲(なか)町、南(みなみ)町方面(武家屋敷通り)に残され、唐人町には明人堂(みんじんどう)(王直(おうちょく)の居館跡)や六角井戸の遺跡がある。城下町の南郊には鬼岳(おんだけ)を中心とする臼状(きゅうじょう)火山群があり、山腹斜面は葉タバコほかを主とする畑作地帯で、北斜面には福江空港やゴルフ場などがある。南麓(なんろく)海岸の鐙瀬(あぶんぜ)は溶岩流の景勝地をなす。福江川の沿岸一帯は低平な溶岩台地で畑作を主とし、上流に内闇(うちやみ)ダム(総貯水量90万トン)、福江ダム(総貯水量63万トン)が構築された。吉田町にある明星院(みょうじょういん)の銅造如来(にょらい)立像は、国の重要文化財。北部の奥浦(おくのうら)湾は避難港で、田ノ浦港(久賀島)にフェリーが通じる。奥浦湾内にある赤レンガ造りの堂崎教会(どうざききょうかい)は、五島最古の歴史をもつ教会建築で県の有形文化財。また、増田町のヘゴ自生北限地帯は国の天然記念物、久賀島にある旧五輪教会堂(きゅうごりんきょうかいどう)は国の重要文化財、男女群島は国の天然記念物(天然保護区域)に指定されている。大草履(ぞうり)が登場する下崎山(しもさきやま)町の祭事「ヘトマト」は国の重要無形民俗文化財、念仏踊「チャンココ」は県の無形民俗文化財である。西部の翁頭(おうとう)山には五島鉱山がありダイアスポア(ろう石)、珪石を産出したが、1981年(昭和56)閉山。

[石井泰義]

『『遣唐使ゆかりの地・五島列島』(1969・長崎県市町村自治会)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福江」の意味・わかりやすい解説

福江
ふくえ

長崎県五島市東部の旧市域。五島列島南部の福江島東部に位置する。地域には久賀島椛島(かばしま),赤島,黄島(おうしま)などのほか,全域が国指定天然記念物の男女群島を含む約 30の無人島がある。1954年福江町と奥浦村,崎山村,本山村,大浜村の 4村が合体して市制。1957年椛島村,久賀島村を編入。2004年8月富江町,玉之浦町,三井楽町,岐宿町,奈留町の 5町と合体し五島市となった。中心市街地の福江は五島藩の旧城下町で,海城の石田城跡(五島氏庭園は国指定名勝),武家屋敷の遺構がある。五島全域の中心地で,1970年に近代的港湾が完成,港湾周辺の埋立地にはターミナルビルやホテル,製氷会社などが集中。農村部はおもに火山灰土壌の畑作地域で,五島牛の主産地としても知られる。漁業は一本釣りのほか,刺網,延縄漁が主。1月に行なわれる下崎山のヘトマト行事は国指定重要無形民俗文化財。鬼岳(315m),笹嶽(390m)の好展望地や堂崎天主堂,多島海岸など景勝地,旧跡が多く,鬼岳一帯を中心とした地域は西海国立公園に含まれる。福江港周辺の海域は福江海域公園地区。福江島をほぼ一周する国道384号線の起点。長崎,福岡から定期航路および定期航空路が開かれている。

福江
ふくえ

愛知県南部,田原市西部の旧町域。渥美半島西部を占める。 1897年町制施行。 1906年清田村,中山村と合体。 1955年伊良湖岬村,泉村と合体して渥美町となり,2005年田原市に編入された。かつては伊勢,熱田,師崎,亀崎,蒲郡,豊橋などへの海上輸送の寄港地として栄えた。周辺農村の施設園芸の経済に支えられ,半島の西半分を商圏とする商業地であり,バス交通の拠点。湾岸ではウナギ,ノリを養殖。北部の立馬崎には 1971年に完成した渥美火力発電所がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「福江」の意味・わかりやすい解説

福江 (ふくえ)

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世界大百科事典(旧版)内の福江の言及

【渥美[町]】より

…渥美半島先端部を占め,南は遠州灘,西は伊勢湾,北は三河湾に面する。古くから海上交通の要衝として栄え,中心地福江は商工業が盛んである。東部一帯の山地を除き,平たん地が多く,畑作を主体とする農業地帯をなす。…

※「福江」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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