養老山地(読み)ヨウロウサンチ

デジタル大辞泉 「養老山地」の意味・読み・例文・類語

ようろう‐さんち〔ヤウラウ‐〕【養老山地】

濃尾平野の西、岐阜三重県境に広がる山地南北約25キロメートル、東西約5キロメートル。最高峰しょうヶ岳の908メートル。山地東斜面の岐阜県側は断層崖を示し、北部養老の滝がある。山麓には複合扇状地が発達し、北部は富有ふゆう南部ミカンなどが栽培されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「養老山地」の意味・わかりやすい解説

養老山地 (ようろうさんち)

岐阜・三重県境を北北西から南南東に走る山地。延長約30km,幅5~8km,標高600~800mで,最高峰は笙(しよう)ヶ岳(908m)。主峰の養老山は標高859mである。山上には準平原の平たん面が分布する。秩父古生層から成り,東の濃尾平野側を明瞭な断層で切られた傾動地塊で,東面する断層崖は三角末端面列を形成,断層崖下には複合扇状地が発達して流下する川の一部は天井川となっている。山地は西に緩く傾斜し,牧田員弁(いなべ)両河谷をへだてて鈴鹿山脈に対する。

 東麓の扇状地は桑や富有柿の栽培に利用され,一部では山地斜面にかけミカンの栽培も行われる。孝子伝説で名高い養老ノ滝は断層崖付近の急傾斜面を流下する滝谷にかかり,高さ約30m。付近は岐阜県立養老公園となっており,東海自然歩道の通過地でもある。山地北部は揖斐(いび)関ヶ原養老国定公園に属する。山地南東縁近くの多度山(403m)上からは濃尾平野の眺望がよく,山麓には多度神社がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「養老山地」の意味・わかりやすい解説

養老山地
ようろうさんち

中部地方、濃尾(のうび)平野の西方にそびえて南北に連なり、延長約30キロメートル、東西の幅約3~8キロメートルの山地。その南部は、岐阜・三重両県の県境をなす。山頂には準平原の平坦(へいたん)面が分布し、最高峰は北部にあって908メートル。地質は秩父中・古生層で、東の濃尾平野側を断層で切られた傾動地塊であり、西側の斜面は緩やかである。東側の断層崖(がい)は侵食されて三角末端面を連ね、山麓(さんろく)には複合扇状地が並び、一般に川は水無(みずなし)川となり、一部は天井(てんじょう)川となっている。北部の扇状地ではおもに富有(ふゆう)ガキが栽培され、南部ではミカン栽培に利用される。他方、北部の養老ノ滝や南端の多度山およびその麓(ふもと)の多度大社のように、多くの観光客の訪れる所もある。

[上島正徳]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「養老山地」の意味・わかりやすい解説

養老山地
ようろうさんち

三重県と岐阜県にまたがり,濃尾平野の西縁をなす山地。南北約 25km。北は関ヶ原地溝から南は多度山の南までで,南半は岐阜・三重両県の境をなす。東斜面は比高約 600mの急な断層崖で,典型的な断層地形を示し,西は緩傾斜をなす傾動地塊で,北へいくほど高くなる。最高点は約 900m。山地の北東に養老ノ滝がある。東麓の北部は富有柿,南部はミカンの産地。東麓を近畿日本鉄道養老線が通じる。

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