波の花(読み)ナミノハナ

デジタル大辞泉 「波の花」の意味・読み・例文・類語

なみ‐の‐はな【波の花】

塩。もと女房詞
波の白くあわだつのを花にたとえていう語。
「―沖から咲きて散り来めり」〈古今・物名〉
[類語]波浪さざ波白波逆波津波土用波うねり小波大波高波荒波波濤怒濤激浪男波女波余波徒波あだなみ逆浪げきろう横波海嘯夕波波頭なみがしら波頭はとう波間

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精選版 日本国語大辞典 「波の花」の意味・読み・例文・類語

なみ【波】 の 花(はな)

① 波の白くあわだつのを白い花に見立てていう語。特に、冬の寒くよく晴れて風の強い日、奥能登外浦海岸・越前海岸など岩石の多い海辺で見られる波の白い泡のかたまりをいう。《季・冬》
※古今(905‐914)秋下・二五〇「草もきも色かはれどもわたつうみの浪の花にぞ秋なかりけり〈文屋康秀〉」
② 塩。食塩。もとは女房詞。
※女房躾書(室町末)「女房かたのことはの事〈略〉しほをは、なみのはな共おみかき共しろ物共云」

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世界大百科事典(旧版)内の波の花の言及

【塩】より

…生理的に塩を要求するのは人間だけでなく,牛馬をはじめとする動物にも見られる。夜間に塩を移動することを禁じ,夜間に塩の名を口にするときには〈波の花〉といい換えるのは,ヤマイヌとかオオカミなど危険な動物に気づかれぬよう心をくばった古代の人々の習慣のなごりとみることができる。【坪井 洋文】
【調理と塩】
 料理の塩分濃度はほぼ1%が基本である。…

※「波の花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」