精選版 日本国語大辞典 「余波」の意味・読み・例文・類語
よ‐は【余波】
〘名〙
① 風が吹いたり船が通ったりしてひとしきり波立ったあとに残った波。また、主な流れの外の流れ。なごり。
※和漢朗詠(1018頃)上「外物の独り醒めたるは松澗の色 余波の合力するは錦江の声〈大江以言〉」 〔書経‐禹貢〕
② ある事が過ぎ去ってしまったあとに残る気持。また、別れを惜しむ気持。なごり。
※吾妻鏡‐建保元年(1213)四月一五日「漸催二発心一。今夕已欲レ遂二素懐一。存二年来余波一参二御所一」
③ ある事柄が終わったあとも、なおおよぼす影響。現代ではおもに良くないことについていう。余勢。とばしり。なごり。
※本朝文粋(1060頃)一一・女一宮御著袴翌日宴和歌序〈藤原斉信〉「皇流是遺。余波相伝」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉附録五「邪蘇祭典(くりすます)の前は世人の繁忙なるを以て、自づから其余波(ヨハ)僕が如き隠遁者に及べりと」 〔顔延之‐陶徴士誄序〕
④ 残りの命のたとえ。
※江都督納言願文集(平安後)六・美濃前司知房願文「論二余波於流年一、電謝二於尺一矣」
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