河棚(読み)かわたな

日本歴史地名大系 「河棚」の解説

河棚
かわたな

中世よりみえる彼杵そのき庄内地名。正応四年(一二九一)六月日の肥前河棚住人秋丸恒安申状案(青方文書)に「河棚」とみえ、塩田大貫殿の下人文五郎らが売買のために五島に赴いたところ、西浦部の青方にしうらべのあおかた(現上五島町)の山口で山賊に遭って殺害され、所持物を奪われた。この犯人とされた河棚住人の秋丸恒安は無実を主張、身替りを出して釈放されたが、さらに真犯人を捜し出し、この山賊は青方高家の下人の弥五郎および五郎三郎で、高家も認めているので下人を召上げ、重罪に処すよう訴えている。鎮西探題はこれを受けて調査のために下人を召進めることを高家に命じているが(同年六月二八日「大友親時・北条定宗連署書下案」同文書)、この結末は明らかではない。当地もまた彼杵庄のほかの地と同じく一分領主がいたが、永仁七年(一二九九、正安元年)六月二六日の鎮西探題裁許状(尊経閣文庫所蔵東福寺文書)によれば、宮村通兼は彼杵庄の領家一代一度の検注を行わなかったとして同庄雑掌に訴えられ、河棚三郎入道道盛らがこれを認めたため鎮西探題金沢実政から検注を命じられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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