比・類・副(読み)たぐう

精選版 日本国語大辞典 「比・類・副」の意味・読み・例文・類語

たぐ・う たぐふ【比・類・副】

[1] 〘自ハ四〙
① 並ぶ。寄り添う。いっしょにいる。連れだっている。
書紀(720)孝徳五年三月・歌謡鴛鴦(をし)二つ居て 偶(たぐひ)よく 陀虞陛(タグヘ)る妹を 誰か率(ゐ)にけむ」
源氏(1001‐14頃)橋姫「よろづを思ひすましたる御住(すま)ひなどに、たぐひ聞えさせ給ふ、御心のうちは」
② 伴う。連れだつ。いっしょに行く。呼応する。
※書紀(720)仁徳二二年正月・歌謡「道行く者も 多遇譬(タグヒ)てぞ良き」
古今(905‐914)羇旅・四〇六・詞書「つかひまかり到りけるにたぐひて、まうできなむとて」
③ 似あう。かなう。適合する。相当する。
※源氏(1001‐14頃)帚木君達の上(かみ)なき御選びには、ましていかばかりの人かは、たぐひ給はん」
俳諧鶉衣(1727‐79)前下「ほたるは、たぐふべきものもなく景物の最上なるべし」
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒たぐえる(比)

たぐ・える たぐへる【比・類・副】

〘他ア下一(ハ下一)〙 たぐ・ふ 〘他ハ下二〙
① 並ばせる。添わせる。いっしょに居させる。
※古今(905‐914)春上・一三「花のかを風のたよりにたぐへてぞさそふしるべにはやる紀友則〉」
② 伴わせる。連れだたせる。いっしょに行かせる。
※古今(905‐914)離別・三七三「おもへども身をしわけねば目に見えぬ心をきみにたぐへてぞやる〈伊香子淳行〉」
方丈記(1212)「松のひびき秋風楽をたぐへ」
③ なぞらえる。似せる。また、くらべる。比較する。
山家集(12C後)中「かさねては乞ひえまほしき移り香を花橘に今朝たぐへつつ
※俳諧・おらが春(1819)「鶴亀にたぐへての祝尽しも」

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