けい‐ぶつ【景物】
〘名〙
① 四季折々の情趣のある
事物。自然の
風物。景色。
風景。光景。
連歌・
俳諧では、特に、雪・月・花・
郭公(ほととぎす)を四箇の景物といい、これに紅葉を加えて五箇の景物ともいう。
※文華秀麗集(818)上・秋日冷然院新林池探得池字応製〈淳和天皇〉「景物仍堪レ遊二聖目一」
② 時節に応じた、珍しい品。四季折々の
衣装、くだもの、料理など。
※
明衡往来(11C中か)上末「旨酒一樽、景物少々」
※源平盛衰記(14C前)三九「時の景物(ケイブツ)尋ねて、酒勧め奉らんと支度したり」
③ 競争によって得る
賞金または
賞品。特に俳諧で、句の選ばれた作者に主催者がほうびとして出す
金品。
※
随筆・本朝世事談綺(1733)四「俳諧〈略〉褒美前句附、江戸にては元祿八九年にさかんにして、景物
(ケイブツ)ある事起る」
④ 主なものに添えて与えるもの。売出しなどに、
売物に添えて客に贈る物。また、開店などのおりに客に配る贈り物。
景品。
※歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)五立「谷中町に幸ひ、
店開きがござんすゆゑ、御覧じませ。
団扇の景物
(ケイブツ)二本まで取って参りました」
⑤
付録として与えるもの。また、付けたりに行なうもの。
※
合巻・茶番狂言初音待(1815)
仁王「けいぶつのしなじな〈略〉はをりの下などへ隠しおきて」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「景物」の意味・読み・例文・類語
けい‐ぶつ【景物】
1 四季折々の趣のある事物。自然の風物。連歌・俳諧では、特に、花・ほととぎす・月・雪などをいう。「初夏の景物」
2 その場に興を添えるもの。珍しい芸や衣装・料理など。
「音もせで走るいろいろの馬車…半天に浮び出でたる凱旋塔の神女の像、この許多の―」〈鴎外・舞姫〉
3 景品。
「余興の福引の―でも貰って」〈魯庵・社会百面相〉
4 連歌・俳諧で、点取りのときの賞品。
[類語]景品・添え物・おまけ・食玩
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
普及版 字通
「景物」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
世界大百科事典(旧版)内の景物の言及
【景品】より
…売る品物にそえて,客に贈る品物。おまけ,景物。商店の開店や周年記念として配られるほか,製造業者や流通業者が[販売促進]や顧客サービスのために付ける。…
※「景物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」