武官・文官(読み)ぶかんぶんかん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「武官・文官」の意味・わかりやすい解説

武官・文官
ぶかんぶんかん

古代、禁裏内外の守護をはじめ、すべて武道にかかる役を武官という。近衛(このえ)、兵衛(ひょうえ)、衛門府などの大将中将少将将監(しょうげん)・将曹をはじめとして、馬(め)寮、兵庫(ひょうご)寮の官人などをさす。そのほか、大臣をはじめ、武官でないだいたいの官人は文官である。『続日本紀(しょくにほんぎ)』元正(げんしょう)天皇養老(ようろう)5年(721)正月25日には、「文人武士ハ国家ノ所重スル」とみえ、同年7月4日の条には「始メテ令文武百官率妻女姉妹会六月・十二月ノ晦大祓(みそかノおおはらえノ)処」などとある。

 以上のような武事を担当する官人に対し、一般の事務・行事などを行う官人を文官という。太政(だいじょう)官の役人、いわゆる公卿(くぎょう)たち、大臣、大中納言(なごん)、参議、左右弁少納言およびそれ以下の職にある人々をいう。明治以後の文官は、身分・職務に関する規定として文官分限令がつくられ、文官の任用資格に関する規定として文官任用令がつくられた。これらの規定は、第二次世界大戦後改められて今日に至っているが、文官は行政官、司法官に大別された。また、武官は、明治以後、陸海軍の下士官以上の軍人を文官に対して武官とよんだ。武官・文官ともに、その服装には朝服礼服がある。

山中 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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