栗原郡(読み)くりはらぐん

日本歴史地名大系 「栗原郡」の解説

栗原郡
くりはらぐん

面積:八〇七・八〇平方キロ(境界未定)
瀬峰せみね町・高清水たかしみず町・築館つきだて町・志波姫しわひめ町・若柳わかやなぎ町・金成かんなり町・一迫いちはさま町・鶯沢うぐいすざわ町・栗駒くりこま町・花山はなやま

県北部に位置し、北は岩手県一関いちのせき市・西磐井にしいわい花泉はないずみ町、北西は秋田県雄勝おがち東成瀬ひがしなるせ村・皆瀬みなせ村と接する。西より南にかけては玉造たまつくり鳴子なるこ町・岩出山いわでやま町および古川市、南から東にかけては遠田とおだ田尻たじり町および登米とめ南方みなみかた町・はさま町・石越いしこし町と接する。北西に三県にまたがる標高一六二七・七メートルの栗駒山がそびえ、その南に虚空蔵こくぞう(一四〇九メートル)大地森おおちもり(一一五四・九メートル)などが連なり、これらを水源として、北より三迫さんのはさま川・二迫にのはさま川・一迫川がほぼ南東流する。二迫・一迫両川は築館町志波姫町境で合流し、三迫川とは金成町・若柳町境で合流し、迫川となる。迫川は若柳をすぎて登米郡を南流し、江合えあい川・旧北上川と合流し、石巻いしのまき市で太平洋に注ぐ。北西部の栗駒町・鶯沢町・花山村などは栗駒山麓を町村域の大半とするが、金成町・築館町は金成耕土などと称されるように水田が広がり、東部の若柳町・志波姫町では迫川の沖積地が豊かな耕地を提供している。志波姫町の南部、築館町の東部にはそれぞれ伊豆いず沼・うち沼があり、鳥類およびその生息地が国指定の天然記念物となっている。交通は郡東部を国道四号が通り岩手県へ、花山村を国道三九八号が通り秋田県へ、同道は東にも延び、本吉もとよし郡方面に通じる。国道四号にほぼ並行して東北自動車道が走り、また東北新幹線が通る。インターチェンジは築館と若柳金成の二ヵ所。主産業は水稲中心の農業で、近世には良質米として仙台藩の御膳米に指定された地域もある。また近世以来つづいた鶯沢町の細倉ほそくら鉱山は、第二次世界大戦後に鉛鉱石・亜鉛鉱石の生産量では日本の上位にある大規模鉱山となったが、昭和六二年(一九八七)閉山。これにより同鉱山から東北本線石越駅に通じる栗原電鉄は大きな打撃を受けるが、鉱山に依存していた鶯沢町への影響はさらに深刻である。

〔原始〕

旧石器時代の遺跡としては、花山村・栗駒町・築館町から後期旧石器の石刃・彫刻刀・石核・尖頭器を出土する遺跡が発見されている。縄文時代の遺跡は、築館丘陵上および花山村・一迫町周辺に多く分布する。高清水町の東方低丘陵端にある大寺だいでら遺跡は、早期貝殻腹縁施文の大寺式の標式遺跡である。また各地にオオタニシカラスガイなどを主体とする淡水産貝塚があり、その代表的なものとして築館町の晩期の嘉倉かくら貝塚が知られ、近接して横須賀よこすか貝塚がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報