柳家つばめ(5世)(読み)やなぎやつばめ[ごせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柳家つばめ(5世)」の意味・わかりやすい解説

柳家つばめ(5世)
やなぎやつばめ[ごせい]

[生]1929.4.30. 宮城,石巻
[没]1974.9.30. 東京
落語家。本名木村栄次郎。國學院大学史学科卒業。大学卒落語家の第1号で,卒業論文は『寄席史の研究』。鎌倉市立深沢中学校に教諭として勤務。1952年 5世柳家小さんに入門し,前座名は柳家小伸。1954年二つ目に昇進し,4世柳家小山三と改名。1960年夢月亭歌麿と改名。1963年真打ちに昇進し,5世柳家つばめを襲名。おもに新作落語で活躍し,『腹ペコ太平記』(自作),『トイレット部長』(藤島茂作)などを口演。現代史落語として,『吉田茂を偲ぶ』『佐藤栄作の正体』『松下幸之助伝』など政財界の人物評伝を語り人気を得る。とりわけときの首相を題材にした『佐藤栄作の正体』は好評だったが,テレビで口演したおり官邸からクレームがつき,以後このネタは放送できなくなりさらに話題を呼んだ。「新作落語こそが落語のあるべき道で,落語は常に大衆によってつくられる」ことを信念に時事ネタで絶えず客席に問いかけ,その集大成として『創作落語論』(1972)を著し,のちの新作派に大きな影響を与えた。著書ほかに『落語の世界』(1967),作品集『私は栄ちゃんと呼ばれたい』(1971)など。(→落語

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