日本大百科全書(ニッポニカ) 「東洋(町)」の意味・わかりやすい解説
東洋(町)
とうよう
高知県東端、安芸(あき)郡の町。徳島県境に位置し、紀伊水道に臨む。1959年(昭和34)甲浦(かんのうら)、野根(のね)の2町が合併して町制施行。国道55号、493号が通じる。1992年(平成4)に阿佐海岸鉄道阿佐東線が開通し、終点として甲浦駅が置かれたが、2021年(令和3)デュアルモードビークル(道路上、鉄道軌道上をともに走行できる車両)に転換され、現在はバス停留所となっている。北の甲浦はリアス海岸に位置する良港で、古くから土佐と上方(かみがた)間の航路の寄港地、また商港、漁港としても栄え、参勤交代の際の船出の地でもあった。神戸―土佐清水(しみず)間のフェリーが寄港していたが、2005年(平成17)に廃止された。野根川流域の上流では林業が、下流では米作、野菜促成栽培が行われる。ポンカンや小夏などの栽培が盛ん。野根は江戸期野根山街道の要駅で、かつてはブリ大敷(おおしき)網も行われていた。海岸一帯は室戸阿南海岸国定公園(むろとあなんかいがんこくていこうえん)域で、白浜の砂浜海岸は海水浴場、生見(いくみ)海岸はサーフィン場として知られる。10月の熊野神社祭(トントコ祭り)では、海上パレードが行われ、多くの人でにぎわう。面積74.02平方キロメートル、人口2194(2020)。
[正木久仁]