東宮・春宮（読み）とうぐう

精選版 日本国語大辞典

とう‐ぐう【東宮・春宮】

〘名〙 (東方は四季の春に配し、万物生成の意を含み、また、易で東は震、震は長男とし、宮殿が皇居の東にあったところからいう)

① 皇太子の住む宮殿。みこのみや。

※令集解（868）東宮職員「穴云。御子宮。在_二御所東_一。故云_二東宮_一也。伴云。四時気自_レ東発。即春准_レ此故。為_二東宮。春宮_一。其義无_レ別也」 〔竹書紀年‐下〕

② (転じて) 皇太子の称。ひつぎのみこ。

※令義解（718）東宮職員「傅一人。〈掌_下以_二道徳_一輔_中導東宮_上〉」

※日本‐明治二六年（1893）七月二九日「東宮の御学友なるものは学習院に於ける御同級中の御同組を以て組織せられある由なるが」 〔詩経‐衛風・碩人〕

みこ‐の‐みや【東宮・春宮】

〘名〙

① 皇太子のいる宮殿。

② 転じて、皇太子。ひつぎのみや。ひつぎのみこ。

※書紀（720）持統一一年二月（北野本南北朝期訓）「直広壱当麻真人国見を以て、東宮(ミコノミヤの)大傅(おほきかしつき)と為」

③ 「みこのみや（春宮）のつかさ」の略。

※古今（905‐914）雑下・九六六・詞書「みこの宮のたちはきに侍りけるを、宮づかへつかうまつらずとて、とけて侍りける時によめる」

[補注]古くは、皇太子個人は「東宮」、その役所は「春宮坊」と区別して記すことがあった。

出典　精選版 日本国語大辞典