精選版 日本国語大辞典 「札・簡」の意味・読み・例文・類語
ふだ【札・簡】
〘名〙 (「ふみいた(文板)」の変化した語)
① ある目的のために必要な事項を書き記した小さい木片・紙片・金属片など。ふみた。
※書紀(720)天智元年五月(北野本訓)「又金(こかね)の策(フタ)を福信に予(たま)ひて」
※米沢本沙石集(1283)九「炎魔王界にて、倶生神の札、浄婆利の鏡に引向て」
④ 町中などに高く立てる板札。高札。また、制札。禁札。
※小右記‐長和三年(1014)四月二七日「下御社鳥居内立レ簡、其銘云、神宣云、惟憲朝臣太政大臣家事執行不レ堪」
⑤ 神仏の守札。お札。おまもり。
※鵤荘引付‐明応七年(1498)「仁王講以下執行、札多地家え被レ下、さ様儀により虫漸々に喰止了」
⑥ 質物と引き換えに質屋が交付する証券。質札。
※浮世草子・西鶴織留(1694)五「是にも札(フダ)書事のむつかしやといひさま、銭十六文かしければ」
⑦ 入場券。木戸札。また、乗車券。
※浮世草子・好色盛衰記(1688)一「人に札もろふて又大夫が舞の芝居へ行といへば」
※梅津政景日記‐慶長一七年(1612)四月一七日「左兵へ札をとりあげ申候」
⑨ 商品の広告、開店・売り出しの知らせなどを書いて配ったり、張ったりするもの。ちらし。びら。引札(ひきふだ)。
※雑俳・柳多留‐四九(1810)「仲条は札もながれるとこへはり」
⑩ 花札やカルタやトランプなどの、絵や文字を書いた厚手の紙片。
※俳諧・物種集(1678)「札うち初る三熊野の山 読かるた馬のかよひはなかりけり〈西鶴〉」
※仮名草子・尤双紙(1632)下「めぐるもののしなじな〈略〉三十三番の札(フダ)を打にめぐるは、順礼」
⑬ 「しまいふだ(仕舞札)」の略。
※洒落本・祇園祭挑燈蔵(1802)大詰「『伴内様御仕廻かる』と札が下げてあるを」
⑭ 「いれふだ(入札)」の略。
ふみた【札・簡】
〘名〙 (「ふみいた(文板)」の変化した語) 文字を書いた板や紙。ふだ。
※霊異記(810‐824)下「長さ二尺許、広さ一尺許の板の札(フミタ)有り。〈前田家本訓釈 札 不美多〉」
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