札所(読み)フダショ

デジタル大辞泉 「札所」の意味・読み・例文・類語

ふだ‐しょ【札所】

巡礼者が参拝しるしとして、札を納めたり受け取ったりする所。三十三所観音霊場、八十八所の弘法大師の霊場など。

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精選版 日本国語大辞典 「札所」の意味・読み・例文・類語

ふだ‐しょ【札所】

〘名〙 仏教の霊場の称。巡礼者が参詣のしるしとして札を受けたりおさめたりするところ。三十三か所の観音、八十八か所の大師など。
狂歌古今夷曲集(1665)一〇「何番の札所と問へば長命寺順礼歌の文字の数とや」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「札所」の意味・わかりやすい解説

札所
ふだしょ

納札する寺の意味で、西国(さいごく)三十三所や四国八十八か所などの寺院をいう。中世から霊場巡礼の際に、納経のあと願い事、住所姓名年月日を記した木札を天井や柱に打ちつける風習がおこった。札所に巡礼することを「札を打つ」ともいうのは、この風習から出ている。納札には、仏・菩薩(ぼさつ)の像や仏・菩薩を梵字(ぼんじ)で標示した種子(しゅじ)などを印刷した紙も用いられた。納める風習が転じて、のちには逆に、持参した集印帖(じょう)に参拝記念として寺名や朱印を捺(お)してもらうようにもなった。

[藤井正雄]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「札所」の解説

札所
ふだしょ

巡礼者が参詣してまわる霊場(寺院)。参詣した証に札を奉納する習慣から,この名がある。西国三十三観音・坂東三十三観音・秩父三十四観音,四国八十八カ所の弘法大師の霊場などが代表的な札所。巡礼者は自身の氏名・住所・祈願内容などを書いた巡礼札を柱などに打ちつけた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「札所」の意味・わかりやすい解説

札所
ふだしょ

お札を納める寺のこと。西国三十三所や四国八十八ヵ所の札所と名づけられる霊場がある。中世から巡礼の際に,所願,国郡 (住所) ,姓名,年月日を記した板や銅板を納める風習があり,のちには参拝記念として寺名や朱印を集印帖などに押してもらうようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の札所の言及

【西国三十三所】より

…近畿地方に散在する,観音信仰で有名な33ヵ所の霊場を,順番を追って参詣する巡礼コースで,西国三十三所観音霊場巡(順)礼とよぶ。これらの霊場は,巡礼たちが参詣のしるしに納札(のうさつ)をすることから,札所(ふだしよ)とも称される。観音の霊場として有名な熊野那智の青岸渡寺を第1番とし,奈良,京都の古寺をはじめとする近畿地方一円を巡って,岐阜県谷汲の山中にある33番華厳寺に終わる,長途の巡礼路である。…

【四国八十八ヵ所】より

…一般にはこれを〈遍路〉〈お四国〉などと呼んで,観音霊場の巡礼と区別している。遍路が霊場に参詣すると,そのしるしに〈南無遍照金剛〉と弘法大師の宝号を記した札を納めることから,八十八ヵ所の寺々を札所(ふだしよ)ともいう。第1番の札所は阿波の霊山寺(現,徳島県鳴門市)で,ここから土佐(高知県),伊予(愛媛県),讃岐(香川県)とまわり,山深い大窪寺で終わる。…

【巡礼】より

…四国霊場にも小豆島その他の新四国霊場がつくられており,近在だけでなく,独自に全国から信者を集められるほどに盛んになったものも少なくない。 巡礼霊場の巡拝地を一般に札所という。これはそこに参拝したしるしに小さな札(納札)を納めるところからきている。…

【納札】より

…札の中央にその巡礼の名称,両側に出身地,名前,参拝年月日などを書くのがふつうである。納札を納めるところから巡礼の寺を〈札所(ふだしよ)〉と呼び,もとは木製の札を釘で打ちつけたため,札所に詣でることを〈札を打つ〉ともいうようになった。一方,巡礼者が通り過ぎる地域の人々にとっても,この札には大きな意味があった。…

※「札所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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