月峯寺(読み)げつぽうじ

日本歴史地名大系 「月峯寺」の解説

月峯寺
げつぽうじ

[現在地名]能勢町大里

大里おおざとの北西、しろ(四二八・一メートル)の南麓にある。真言宗国分寺派。剣尾山と号し、本尊千手観音。摂津国観音霊場第一六番札所。もと丹波国境の剣尾けんび(七八二メートル)山頂近くにあり、中世・近世には「つきみね」ともいった。草創の時期は不明だが、明応四年(一四九五)藤原公夏筆の槻峯寺建立修行縁起(寺蔵)によると、聖徳太子が百済僧日羅に命じて異国調伏の地を求めさせた。日羅は摂津長州で浦人から浦を照らす霊地を教えられ、険岨な道をたどって霊域に到達。さらに高山中に、梢に天人の遊び奏楽する一本の大きな槻の木を発見。日羅が太子の命で槻の木を伐ると、槻の切株の上に生身の千手観音が出現した。その後、太子と日羅の意趣により、かの槻の木で等身の千手観音像を作り、ここに伽藍を建立した。これが当寺の始まりという。「摂陽群談」によれば剣尾山の山号は、日羅が修法を行っていた時、虚空より不動の利剣が護摩壇に飛来したことに由来し、月峯寺の寺名は、光明を放つ槻の木の内より観音像が現れたことにより、槻放をいつの時か月峯と改めたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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