春風亭柳好(3世)(読み)しゅんぷうていりゅうこう[さんせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春風亭柳好(3世)」の意味・わかりやすい解説

春風亭柳好(3世)
しゅんぷうていりゅうこう[さんせい]

[生]1888.4.24. 東京
[没]1956.3.14. 東京
落語家。本名松本亀太郎。2世談洲楼燕枝に入門し,談洲楼燕吉と名のる。談洲楼燕雀,談洲楼錦枝を経て,1917年真打ち昇進,3世春風亭柳好を襲名。睦会に所属し,6世春風亭柳橋,桂小文治,8世桂文楽とともに四天王と呼ばれたが,柳橋の誘いで日本芸術協会に移る。得意ネタは『野ざらし』『蝦蟇の油』。全編にわたるうたい調子,軽快さあふれる高座は客席を魅了した。柳好が高座に上がると客席から,「蝦蟇(がま)」「野ざらし」と声がかかった。安藤鶴夫のような評論家からは「正統でない芸」と評価されたが,客席からは圧倒的な支持を得,「高座姿がもっとも落語家らしい落語家だった」といわれた。ほかに『羽織の遊び』『宮戸川』『鰻の幇間』『二十四孝』などを演じた。燕枝譲りの人情噺木鼠吉五郎』を演じたこともあったという。晩年向島の芸妓屋に入り婿し「向島の師匠」と呼ばれた。鈴本演芸場楽屋で倒れ,患いつくことなく急死。(→落語

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