こう‐ざ カウ‥【高座】
[1] 〘名〙
※内裏式(833)元正受群臣朝賀式「前一日整二設御座於太極殿一、敷二高座一以レ錦」
②
主賓や身分の高い人、または、年輩者などがすわる席。通常は床の間に近い席。
上座(かみざ)。上席。
※雑談集(1305)九「無官なるも
高坐(カウサ)に処
(しょ)し、御
(きみ)の御坐
(ござ)て」
③
説教などの時、説教師や
僧侶などがすわる
一段高くしつらえた席。また、その席で
説法をすること。たかくら。
※延喜式(927)一三「正月最勝王経斎会堂装束〈略〉高座二具」
※枕(10C終)三三「はじめゐたる人々も〈略〉かうざのもとちかきはしらもとにすゑつれば」
④ 社会的な高い位地。
※コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)三「ヲヲクノ シンルイ、チインノ アルコトヲ ヨロコビ cǒzauo(カウザヲ) タノシミ」
⑤ 講釈師が講釈を行なう一段高い
座席。後に
寄席で
芸人が芸を演ずるために、一段高くした席をいい、また、一般に寄席をもいう。
※洒落本・風俗八色談(1756)一「高座(カウザ)の談議に辻談議」
⑥ 銭湯の番台。
[2] 神奈川県の中南部の郡。相模川(馬入川)と境川にはさまれた地域で、相模湾に面する。古くは「たかくら」といい、高倉・鷹倉・
田倉とも書いた。
たか‐くら【高座】
〘名〙
周囲から一段高くなった座席。天皇の
玉座や、
寺院の
仏像の前方両脇にあって
儀式の際に僧侶の坐る高い座の類。こうざ。
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高座
こうざ
寄席(よせ)の舞台。もとは仏教語で、釈尊(しゃくそん)が成道(じょうどう)したという金剛宝座をかたどり、説教のときに一般席より高く設けた台。これが話芸の世界に導入され、落語や講談など寄席芸を演ずる者が座る台をいうようになった。文化(ぶんか)(1804~18)のころ講釈師の伊東燕晋(えんしん)が畳1枚の大きさの固定した高座をつくったが、その後さまざまなくふうが加わり、やがて寄席ではステージそのものが高座になった。最近では大会場で寄席演芸が行われ、高座に緋毛氈(ひもうせん)をかけ、金屏風(きんびょうぶ)を背にする装置も施される。落語家が高座にあがるときに着る衣装を「高座着」といい、高座で使用する扇子(風(かぜ))を「高座扇子」ともいい、高座で敷く座布団を「高座布団」とよぶ。出演者が高座を降り、次の出演者が高座にあがる前に前座が出てきて、座布団をひっくり返し、前の出演者の羽織や湯飲みをかたづけ、メクリ(演者の名を記した紙)を次の演者にかえる仕事を「高座返し」とよんでいる。
[関山和夫]
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高座
こうざ
gao-zuo
仏教において,説教あるいは戒律を授けるために設ける高い座席。インドから中国に伝来し,それまでは低い座席しかなかった中国社会を驚かし,そこにすわって説教する僧に高座道人というあだ名さえ生れた。唐代から俗講が盛んになるにつれて,高座の制は民間芸能の場にも及び,現在日本の寄席の高座の語源になっている。
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デジタル大辞泉
「高座」の意味・読み・例文・類語
こう‐ざ〔カウ‐〕【高座】
1 寄席などで、芸人が芸を演じるための一段高い所。劇場の舞台に相当する。「高座をつとめる」「高座にのぼる」
2 天皇や将軍が、謁見などのときにすわる座席。
3 主賓・年長者などのために設けた高い位置の座席。上座。
4 寺院で、僧が説法などをするときにすわる一段高い席。
たか‐くら【高▽座】
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こうざ【高座】
寄席で芸を演じる場所,舞台。元来は僧侶が弟子に講義したり,信者に説教をする場合の高い壇を意味した。寄席の高座は,1807年(文化4),講釈師伊東燕晋(えんしん)の出願によって官許されたものという。しかし,文化・文政(1804‐30)ごろの初期の寄席は高座がないのが普通で,小さな壇がある程度だった。天保(1830‐44)ごろから,間口9尺(約2.7m)から2間(約3.6m),奥行9尺ぐらいの高座ができ,明治以後現在までの大きな寄席では,間口3,4間となった。
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普及版 字通
「高座」の読み・字形・画数・意味
【高座】こう(かう)ざ
高い坐具。牀・倚子の類。唐・李白〔峨眉山月歌、蜀の僧晏の中京に入るを送る〕詩
金の師子(獅子座)、高座に乘じ 白玉の麈尾(しゆび)、重玄を談ず字通「高」の項目を見る。
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