改訂新版 世界大百科事典 「旭硝子」の意味・わかりやすい解説
旭硝子[株] (あさひガラス)
日本最大のガラス・メーカー。三菱系。1907年9月,岩崎俊弥(岩崎弥太郎の弟弥之助の次男)により旭硝子(株)の名称で兵庫県尼崎に創立された。ベルギーから手吹式円筒法の技術を導入して09年尼崎工場(現,関西工場)を建設,日本初の窓ガラス生産に成功した。第1次大戦の影響による耐火煉瓦およびソーダ灰の入手難に際し,それぞれ16年,17年に初の国産化に成功。こうして,板ガラスのほか,高熱工業の基礎資材として不可欠の耐火炉材,化学工業の基礎原料であるソーダという経営の柱となる3部門が築かれた。第1次大戦時の板ガラス市況の大変動などに耐え,第2次大戦前には世界有数の板ガラス・メーカーになった。大正末から昭和初期には中国東北部,北朝鮮にも進出。34年日本化成工業(株)に合併,同時に同社は三菱化成工業(株)に改称した。敗戦により清津工場(北朝鮮)等の海外設備と資産の全部を失ったが,50年企業再建整備法に基づき,旧三菱化成が3社に分離され,同年6月新生旭硝子(株)として再発足した。近時は,イオン交換樹脂等のファイン・ケミカル,ファインセラミックス,電子・ディスプレイ分野に力を入れている。資本金905億円(2005年12月),売上高1兆5267億円(2005年12月期)。
→ガラス工業
執筆者:中田 智夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報