早生(読み)ソウセイ(英語表記)early maturity

デジタル大辞泉 「早生」の意味・読み・例文・類語

そう‐せい〔サウ‐〕【早生】

植物の実などが普通より早くできること。わせ。「早生品種」⇔晩生
普通より早く生まれること。早産
[類語]早稲わせ中手晩稲おくて晩生ばんせい

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精選版 日本国語大辞典 「早生」の意味・読み・例文・類語

はや‐うまれ【早生】

〘名〙
一月一日から四月一日までの間に生まれたこと。また、その人。四月二日以降に生まれた児童数え年八歳で小学校に入学するのに対して、それより早く、数え年七歳で入学するところからいう。⇔遅生まれ
林檎の下の顔(1971‐73)〈真継伸彦〉三「早生まれの彼より二歳年上である」
② 数え年などが同じ人の間で、一方が他方より生まれが早いこと。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉九「僕より四ケ月早生れだ」

そう‐せい サウ‥【早生】

〘名〙
① 植物の実などが、ふつうの時季より早く生じること。わせ。
※東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉三月暦「此染井吉野は樹が早生(サウセイ)の方で」
② ふつうより早く生まれること。早産。

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改訂新版 世界大百科事典 「早生」の意味・わかりやすい解説

早生 (わせ)
early maturity

生育期間が短く,早い時期に収穫期に達する作物品種の遺伝的な特性反対性質である晩生(おくて)と中間の中生(なかて)を含めて作物栽培上重要な特性となっている。早生になると生育期間が短くなるので,一般的傾向としては収量が低下する。しかし厳しい自然環境の条件下では,生育期間が短い早生のほうが有利である場合も少なくない。またハウス栽培を含めて,野菜では早い時節の出荷は市場で高く評価されるため,収益が飛躍的に増加することが多い。このようなことから,早生でしかも収量性の高い品種の需要が多い。日本での水稲普及品種をみると,西南暖地のほうが東北,北海道に比べて晩生の品種が多い。これは気象条件の変化に対応するものと考えられるが,早生品種と晩生品種を交配して雑種集団をつくり,自然淘汰にまかせても同じ傾向がみられる。品種の早晩生はそれぞれの植物に遺伝的にそなわっている感光性(日長時間によって花芽の形成が支配される性質),感温性(高温,低温などによって花芽の形成が支配される性質),基本栄養生長性(感光性,感温性について最適条件を与えても,なお花芽形成に一定の生育期間を必要とするという性質)などによって規定される面が強い。感光性や感温性を失った品種は早生となることが多いが,同時に季節に対する感受性を失っているので,時なしとか,四季咲きとかいわれ,季節を選ばない栽培によく利用されている。
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百科事典マイペディア 「早生」の意味・わかりやすい解説

早生【わせ】

成熟が早く早期に収穫できる作物の品種群。これに対して収穫期の遅いものを晩生(おくて),中間のものを中生(なかて)と呼ぶ。多くの作物にあるが,日本ではイネについていうことが多く,イネの場合は早稲とも書く。イネの早生品種はふつう感温性(温度が高くなると花芽分化が促進される性質)が高いため,遅まきの場合には栄養生長の期間が短くなり収量は落ちるが,早まき早植えを行えば収量は安定する。早生品種は晩生品種よりも概して収量は少ないが,栽培期間が短いため輪作上有利。特に野菜では早い時期の出荷が市場で歓迎され高い収益を得ることが多いため,早生で収量性の高い品種の需要が多い。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「早生」の解説

早生 (ワセ)

植物。早期に種子の熟す稲の品種の類称

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