精選版 日本国語大辞典 「於て」の意味・読み・例文・類語
おい‐て【於て】
① 動作、作用の行なわれる場所、時間などを示す。…で。…にあって。
② 事物、人物などについて、それに関連することを示す。
(イ) …に関して。…について。
(ロ) (「は」を伴って) (他のものはとにかく)…に関しては。…にあっては。
※百座法談(1110)二月二八日「汝いまにおいては、仏法を修行し大乗経を書写せよ」
※保元(1220頃か)中「関白殿〈略〉、御身にをひては何の御怖畏か有るべきに」
③ (「は」を伴って) 仮定条件を示す。…の場合には。
※平家(13C前)一〇「還幸なからんにおいては、三種の神器いかでか玉躰をはなちたてまつるべきや」
[語誌]格助詞「に」をともなう「において」の形は「於」を訓読した「ニオキテ」の音便形。「於」は平安時代から「ニオイテ」の他、「ニシテ」とも読まれ、「ニシテ」が主として具体的な場所を指すのに対し、「ニオキテ(ニオイテ)」は論理的・抽象的な関係を示していた。院政期頃まではこのような使い分けがなされていたようであるが、やがて場所・時間を表わす場合にも「ニオキテ(ニオイテ)」が用いられるようになった。
おき‐て【於て】
※源氏(1001‐14頃)東屋「少将殿にをきたてまつりては、故大将殿にも若くより参り仕うまつりき」
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