数理物理学(読み)スウリブツリガク(英語表記)mathematical physics

デジタル大辞泉 「数理物理学」の意味・読み・例文・類語

すうり‐ぶつりがく【数理物理学】

物理学における諸問題を数学解析重点を置いて研究する学問分野。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「数理物理学」の意味・わかりやすい解説

数理物理学
すうりぶつりがく
mathematical physics

物理学と数学の境界をなす科学の一分野で、数学的解析に重点をおいた物理学の分野。もともと、ニュートンによる微積分の確立が物理学における力学を説明するためであったように、物理学と数学は非常に親密な関係にある。古代ギリシア以来の幾何学イスラムでの代数学の発展を基礎に、数理物理学が発達し、17世紀以降、天体力学流体力学、熱力学、電磁気学統計力学の発展を支えた偏微分方程式変分法フーリエ解析ベクトル解析、確率論やエルゴード理論などが確立された。20世紀になり、量子力学には線形代数学、作用素、関数解析学が寄与している。また一般相対性理論では重力非ユークリッド幾何学であるリーマン幾何学により表現されることが導きだされた。最近の弦理論には、群論、代数幾何学トポロジー、複素幾何学などが関連している。

[山本将史 2022年3月23日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「数理物理学」の意味・わかりやすい解説

数理物理学
すうりぶつりがく
mathematical physics

確立された物理法則から数学的推論によって物理的な結果を導き出す物理学の分野。惑星軌道論や,ポテンシャル,振動,波動,熱伝導,波動力学などの偏微分方程式の境界値・初期値・固有値問題とその近似解法,統計力学における確率過程,流体や波動の非線形問題などを対象とする。第2次世界大戦以前は解析的解法を主としたが,戦後は電子計算機による数値的解法が広く用いられるようになった。理論物理学の同義語として用いられることもある。

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百科事典マイペディア 「数理物理学」の意味・わかりやすい解説

数理物理学【すうりぶつりがく】

理論物理学のうち,理論体系の数学的構造に重点をおいて数学的解析方法によって研究する一部門。数学における展開が物理学に,また物理学における展開が数学にフィードバックしている。

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