精選版 日本国語大辞典 「掬・抄」の意味・読み・例文・類語
すく・う すくふ【掬・抄】
〘他ワ五(ハ四)〙
※古本説話集(1130頃か)二五「なべに煮ける物をすくひくひけるほどに」
② 物を上へ持ち上げる。下から上へ急に持ち上げる。かきすくう。
※曾我物語(南北朝頃)八「乗りたる馬を主共に中にすくうて投げ上げ」
③ かいくる。繰る。
④ 横にはらう。かきさらう。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉一三「横さまに払ふ風強くて、足をすくはるるも尠(すくな)からず」
※洒落本・北華通情(1794)「すくふて足とせざるは天神金毘羅の朝参りにみへたり」
すくい すくひ【掬・抄】
〘名〙 (動詞「すくう(掬)」の連用形の名詞化)
① すくうこと。すくいとること。また、そのもの。数詞の下について、「ひとすくい」などのように、すくう回数を表わすのにも用いる。
※御伽草子・諏訪の本地(神道物語集所収)(室町末)「水三すくひまいりまいりして行給へ」
② 「すくいばち(掬撥)」の略。
※雑俳・水加減(1817)「丸うなって・すくひの利かぬ芸子の撥」
③ 取引市場で、短期間の転売、買戻しによって僅少の利益を得ること。また、相場で機敏に立ち回って利益を得ること。〔大坂繁花風土記(1814)〕
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