精選版 日本国語大辞典 「据・居」の意味・読み・例文・類語
す・える すゑる【据・居】
〘他ア下一(ワ下一)〙 す・う 〘他ワ下二〙
① 物を動かないように、一定の場所に置く。きちんと置く。また、安置する。供する。
※古事記(712)下「味白檮の言八十禍津日の前に、玖訶瓫(くかへ)を居(すゑ)て」
※伊勢物語(10C前)九「かきつばたといふ五文字を句の上にすへて」
② ほこり、ちりなどをたまったままにする。
③ 人を一定の場所に住まわせる。ある場所や人のもとに、人をとどめておく。
※竹取(9C末‐10C初)「かぐや姫すへんには例やうには見にくしとの給ひて、うるはしき屋を作り給ひて」
④ 人を置く。人を置いて番などをさせる。
⑤ 人をすわらせる。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「一りの少女(をとめ)を中間(なか)に置(スヱ)て撫(かいな)てつつ哭く」
⑥ 人をうずくまらせる。→ひきすえる。
⑦ 鳥、とくに鷹をとまらせる。
※書紀(720)仁徳四三年九月(北野本室町時代訓)「小鈴を以て其の尾に着けて腕(たたむき)の上に居(スエ)て天皇に献る」
⑧ 種子などをまく。植える。
※万葉(8C後)一五・三七六一「世の中の常のことわりかくさまになり来にけらし須恵(スヱ)し種から」
⑨ 建築物などを構える。構築する。設ける。かまえる。
※枕(10C終)二七八「御桟敷の前に陣屋すゑさせ給へる」
⑩ 用意する。ととのえる。
※落窪(10C後)二「侍の入るべき所、雑色所など、さまざまに物すゑなどして、待ち居給ふ」
⑪ 一定の地位につける。位につかせる。
⑫ 印判などを押す。印として刻みつける。
※太平記(14C後)九「足利殿自筆を執て判を居(スヘ)給ひ」
⑬ 感情、気持、動作などを動揺しないようにじっと落ち着かせる。しずめる。
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「大男の眼(まなこ)をすへ」
※拾芥抄(13‐14C)下「灸治穢者七日。居レ灸之人三日」
⑮ 醸造する。製造する。
⑯ 弓を切ったり、曲げたりする。
⑰ 馬をとめる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報