持合(読み)もちあわせ

精選版 日本国語大辞典 「持合」の意味・読み・例文・類語

もち‐あわせ ‥あはせ【持合】

〘名〙
① 現に持っているもの。ちょうどその時、所持しているもの。
※虎寛本狂言・神鳴(室町末‐近世初)「けふはふと雲間を踏はづいて此所へ落たに依って、何も持合が無い」
② 現在所持している金銭所持金
浮世草子傾城色三味線(1701)鄙「いづれも歴々さま方持合がござりませふば、すこしの露をうたしゃりませふ」
③ 今、ちょうど手にしている杯。→持ち合わせる②。
人情本娘太平記操早引(1837‐39)初「持ち合せだから、憚りながら一つ(あ)げるよ」

もち‐あわ・す ‥あはす【持合】

[1] 〘他サ下二〙 ⇒もちあわせる(持合)
[2] 〘他サ五(四)〙
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉四「ひっ掛けておくくらゐの心得は十分持ちあはしてゐたのである」
洒落本・青楼楽美種(1775)茶屋のてい「『コレ岸太夫さん持合したか一つ上やう』『コレへ有かたふござりやす』」

もち‐あわ・せる ‥あはせる【持合】

〘他サ下一〙 もちあは・す 〘他サ下二〙
① ちょうど、その時に所持している。もちあわす。もちあう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
狂言記薩摩守(1660)「銭はもちあわせませぬほどに、この珠数ををいてまいろ」
江戸時代、酒を酌(く)み交わす際、つぎ手が相手に呼びかける語。ちょうど今、このように杯を持っている(ものですからどうぞ)の意。もちあわす。もちあう。
※浮世草子・諸道聴耳世間猿(1766)三「盃取上て一つうけて、持合せましたがあげませうか、誠に他生の縁とやら、ことない御馳走にあづかります」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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