手込・手籠(読み)てごめ

精選版 日本国語大辞典 「手込・手籠」の意味・読み・例文・類語

て‐ごめ【手込・手籠】

〘名〙
① とりこめて危害を加えること。手痛いめにあわせること。また、腕力で他人の身体の自由を奪うこと。てごみ
※大観本謡曲・望月(1586頃)「敵(かたき)を手ごめにしたりけり
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)四「『是非くはせにゃあおかぬ』ト三人かかって彌次郎を手ごめにする」
暴力で女を犯すこと。強姦すること。
※浮世草子・嵐無常物語(1688)上「一代の女房にふられて男はたたずと、手ごめにせんと立かかれば」
金品などを着服すること。自分のものにすること。
※歌舞伎・船打込橋間白浪(鋳掛松)(1866)三幕「出入頭が封印してたしかに預けた金なれば、わしが手籠(テゴメ)に使うては出入中へ済まぬといひ」
④ 道具を使わず、素手で何かをすること。
葉隠(1716頃)九「常に大小もさし不申、手ごめに人をこなし申者にて候」

て‐ごみ【手込・手籠】

〘名〙
① 手はず。手配り手順。手組み。
愚管抄(1220)七「それにかならずしもわれからの手ごみにめでたくおはします事のかたければ」
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「tegominiua(テゴミニワ) セラレツ カナウマジト ゾンジタ〔昌尊の舞〕」
③ 勝手に取り込むこと。勝手に所有物とすること。また、他の所有物を強奪すること。
※雑俳・柳多留‐初(1765)「長屋中手ごみにはかる田舎芋」

て‐ご・む【手込・手籠】

〘他マ下二〙 手ごめにする。おさえつける。
※叢書本謡曲・悪源太(室町末)「思へばくやしや。手ごめたる敵を打ちもらし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報