御荷鉾緑色岩類(読み)みかぶりょくしょくがんるい(英語表記)Mikabu green rocks

日本大百科全書(ニッポニカ) 「御荷鉾緑色岩類」の意味・わかりやすい解説

御荷鉾緑色岩類
みかぶりょくしょくがんるい
Mikabu green rocks

御荷鉾帯の主体をなす緑色岩類。西南日本の外帯で、三波川(さんばがわ)変成帯とその南側に並走する秩父(ちちぶ)帯との間に、緑色岩を主とした狭い帯状域が断続しつつ分布している。これを御荷鉾帯といい、その主体をなす緑色岩類を御荷鉾緑色岩類という。それらは、海底噴出・貫入した玄武岩ないし斑糲(はんれい)岩が、比較的低い温度で変成作用を受けたもので、パンペリー石、アクチノ閃(せん)石、緑泥石などが生成している。原岩の玄武岩や斑糲岩は、三波川変成岩の生成に伴って貫入した変動時貫入岩と考えられたこともあった。しかしいまでは、海底の玄武岩類が崩壊した際の破砕片が堆積(たいせき)して形成された、ある種の堆積岩類であるという考えが有力である。

[橋本光男]

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改訂新版 世界大百科事典 「御荷鉾緑色岩類」の意味・わかりやすい解説

御荷鉾緑色岩類 (みかぶりょくしょくがんるい)

関東山地の御荷鉾山周辺をはじめ,三波川(さんばがわ)変成帯と秩父帯中・古生層との境界に沿って,断続的に分布する玄武岩質火山岩類である。おもに塊状溶岩枕状溶岩やこれの破砕したもの,および凝灰岩等からなり,斑レイ岩,粗粒玄武岩をかなりの量含み,古生代後期~中生代前期の海底火山活動により形成されたとみられる。蛇紋岩化したカンラン岩,パイロクシナイト,角セン石岩等の超マフィック岩を伴い,チャート,泥質岩を少量はさむ。低度の三波川変成作用を受け,緑色の変成鉱物ができ,岩石全体として緑色を帯びているが,輝石や角セン石等の残存鉱物を含み源岩の構造がよく残っている。
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百科事典マイペディア 「御荷鉾緑色岩類」の意味・わかりやすい解説

御荷鉾緑色岩類【みかぶりょくしょくがんるい】

西南日本外帯の三波川帯の南部,秩父帯との境界に沿って断続的に帯状に分布する弱く変成された斑レイ岩や玄武岩の火山岩・火山砕屑岩,蛇紋岩などからなる地帯。少量のチャートや泥岩などの堆積岩を伴い,チャートから古生代石炭紀・中生代三畳紀の化石が発見されている。また放射年代測定から変成作用の年代は約1.4億年前と推定される。

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