精選版 日本国語大辞典 「形無」の意味・読み・例文・類語
かた‐なし【形無】
〘名〙 (形動)
※河霧(1898)〈国木田独歩〉「必ず多少の成功はあるべく、以前のやうな形(カタ)なしの失敗はあるまいと」
③ そのものの持っていた効果が発揮されないままになってしまうこと。むだになること。かいがなくなること。また、そのさま。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉四「いくら大事にしても寝たら形(カタ)なしさ」
④ (「かた」は魚形のことをいう) 釣りで、全然釣れないで終わることをいう。形見ず。
⑤ 「かたなしぜに(形無銭)」の略。
かた‐な・し【形無】
〘形ク〙
① 本来あるべき形や価値がない。
(イ) 姿かたち、容貌がみにくい。きたない。
※大唐西域記長寛元年点(1163)七「我が身卑く劣(カタナク)して」
② そのもの本来の姿や価値が、そこなわれてしまってあとに残らない。あとかたもない。また、効果がない。むだである。
※続詞花(1165頃)物名「大垣はさねばかりこそ残りけれ方なしとてもいへはあらじな〈心也〉」
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