強か・健か(読み)したたか

精選版 日本国語大辞典 「強か・健か」の意味・読み・例文・類語

したた‐か【強か・健か】

(「か」は接尾語。「したた」は「確か」の意の語構成要素と考えられる「した」を重ねたものの変化)
[1] 〘形動〙
① しっかりしているさま。確かなさま。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「御佩刀(はかし)の緒、したたかに結び垂れ、御ぞのしり、走り引きて」
源氏(1001‐14頃)帚木「まいて君達の御為はかはかしく、したたかなる御後見は、何にかせさせ給はむ」
分量が多いさま。おびただしいさま。たくさん。
※夜の寝覚(1045‐68頃)一「国の事などしたたかに申居たるさま見るに」
※謡曲・舟弁慶(1516頃)「したたかに雲を出した」
③ 程度がはなはだしいさま。大層なさま。
※源氏(1001‐14頃)初音「いとしたたかなる身づからの祝ひ事どもかな」
平家(13C前)五「文覚がかたなもたるかいなをしたたかにうつ」
④ 非常に強いさま。勇猛であるさま。また、容易に他に屈しないさま。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「身もしたたかに、心も剛に、弓矢とってよきときけば」
⑤ 見かけはそうは見えないが、相当の能力をもち、簡単にはこちらの思うようにならない人のさま。多くは悪い場合にいう。一筋なわではいかないさま。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙一一「あの女が並の者なら、何も心配にも及びませんが、何分御存知の怜悧(シタタカ)ですから」
[2] 〘副〙
① 分量の多いさま。たくさん。
※浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)二「たった今跡の石場で、蕎麦をしたたかしてやったりや」
② 程度がはなはだしいさま。ひどく。たいへん。はなはだしく。
※玉塵抄(1563)二二「あをのいてしたたかあたまをやまして」
随筆独寝(1724頃)下「大かた其客の目前にてしたたかわるくいふに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報