デジタル大辞泉
「常陸帯」の意味・読み・例文・類語
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ひたち‐おび【常陸帯】
[1] 〘名〙
① 古く、茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮の祭礼の時に行なわれた結婚占いの
習俗。二つの帯に男女の名を記し、
禰宜や巫女がその先を結び合わせて、結婚の相手を占った。
後世、肥立帯の意にかけて、鹿島神宮から常陸帯の
安産の守を授けるに至った。帯占
(おびうら)。《季・新年》
※古今六帖(976‐987頃)五「あづまぢのみちのはてなるひたちをひのかごとばかりもあひみてし哉」
② 茶入の一種。
唐物(からもの)茶入に多く、胴部に一すじの線をめぐらしてある。
※君台観左右帳記(1511)「一 抹茶壺事 〈略〉ひたちおひ なつめ 鶴首」
③ 軟体
動物中、腹足類ガクフボラ科の一種。相模湾以北の水深五〇~五〇〇メートルの砂泥底にすむ。殻高一二センチメートル。殻質厚く、長卵形で、内脣に斜襞をそなえている。
[2]
[一] 鹿島神宮の宝蔵に納めてある宝物の帯。俗に神功皇后の
懐胎の時の腹帯と伝える。〔鹿島志(1823)〕
(イ) 河東節。「常陸帯花柵
(ひたちおびはなのしがらみ)」の
略称。六世十寸見
(ますみ)河東・二世山彦源四郎作曲。寛政三年(
一七九一)浅草駒形駿河屋で
初演。
(ロ) 箏曲。
山田流。初世中能島松声が(イ)を箏曲化したもの。
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の常陸帯の言及
【帯】より
…とくに帯には魂を結ぶものという面もあって婚姻とは縁が深く,仲人を通して男女が帯を贈りあって婚約とする地方もみられたし,今日でも結納金を帯料として贈ることが多い。また〈常陸帯(ひたちおび)〉といって,かつて鹿島神宮の祭日に男女の名を別々に書いた帯を神官に結んでもらい,男女の縁を占う風習もみられた。葬式でも生前使っていた帯を枕にして棺に入れたり,妻に死なれた夫が自分の帯を半切りにして入れる所がある。…
※「常陸帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」